3回に痛恨3ラン被弾の田中将大 「あり得ない…」と悔やんだ先頭打者への四球
1点リードの3回に逆転3ランを浴びるなど、PSワーストの4失点で黒星
■アストロズ 8-3 ヤンキース(優勝決定シリーズ・日本時間18日・ニューヨーク)
雨で順延となったヤンキースとアストロズのア・リーグ優勝決定シリーズ第4戦は17日(日本時間18日)、ヤンキースタジアムで行われ、先発した田中将大投手は5回0/3を投げ3点本塁打を含む4安打4失点(自責3)で今ポストシーズン(PS)初黒星を喫した。同シリーズの対戦成績が1勝3敗となったヤンキースは剣が峰に立たされた。
前回12日の第1戦で6回を1安打無失点に抑えた相手打線に、この日はスライダー、スプリットが狙い通りにいかず、田中は3回につかまった。
先頭の8番チリノスにストレートの四球を与えると、次打者レディックには右前に運ばれ1番スプリンガーと対峙。1ボールからの2球目に投じたのは内角低めを突くスプリット。しかし、甘く入り左翼スタンドに運ばれる手痛い逆転3ランを被弾。
「もう少しやはり低く投げ切らなければいけなかったこところを、ちょっとストライクゾーンに入りすぎた。結局、細かいコントロールに今日は苦しんだというとろが大きかったですかね」
田中は修羅場のきっかけを作った四球を一発以上に悔やんだ。
「あり得ないですよね、あの場面。(野球は)結局、流れのスポーツであるので。そういう部分が結果、大きく繋がっていってしまうとこはありますよね」
5回に味方打線が1死満塁の好機を逃すと、アストロズは直後の6回表、先頭打者の一塁失策で田中の後を受けた2番手グリーンには安打と7番コレアの3ランで突き放した。田中はこれまで続けてきた2失点以内の安定した投球を見せられず、8度目のPS先発登板で初の4失点となった。
不甲斐ない登板となった田中だが、アストロズ打線は、前回とは違った意識で臨んでいた。前日の試合が雨で流れると、電話会見に応じたア軍のヒンチ監督は攻略法に触れている。
「追い込まれたらきついが、打席ではボールを追いかけずに辛抱強く待つことが必要だ。口で言うほどやさしくはないのは分かっているが……」
その好例が、流れを一気に引き寄せる3ランを放ったスプリンガーだった。初球の外角ゾーンへの際どいスプリットを見逃した際には、捕手のミットにボールが収まるまで目を切らさずに見極めた。この動きこそ、指揮官の指示がしっかりと浸透していることの証ではなかったか。田中から高めゾーンに入る速球を右前に打ち返した3番ブラントリーは報道陣がまばらになったクラブハウスで静かに言った。
「タナカは第1戦でいい仕事をした。でもここはメジャーだ。アジャストとそれをさせないことの繰り返しだ」
チームとして10年ぶり、そして自身初のワールドシリーズ進出へ後がなくなったヤンキース。囲みの最後に、第5戦の戦いに向けて思うところを問われた田中はこう結んだ。
「どんなにタフな状況でもやらなければいけないことは一緒なんで。それを徹底してできるかどうかじゃないですか。そりゃそう思いますけど」
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)