甲子園4度出場→大学中退→独立L→プロへ 西武ドラ8岸「相手が嫌がる打者になる」
明徳義塾で投手として活躍も拓大中退を経て、徳島で野手として活躍
西武にドラフト8位で指名された四国IL・徳島インディゴソックスの岸潤一郎外野手が25日、徳島市内の球団事務所で同7位の上間永遠投手とともに指名挨拶を受けた。岸は小4で捕手として軟式野球を始め、高校は名門・明徳義塾に進むと投手として甲子園に4度出場。高橋光成(西武)、岡本(巨人)らとともに侍ジャパンU-18日本代表に選出されるなど、実力は超高校級だった。
その後はプロ入りを目指して拓殖大学に進学したが、故障などに悩まされ3年秋に退学。その後は地元に戻り、子供に野球を教えるアルバイトを始めた。ほぼ全ての野球道具を手放し、野球から離れる決心をしていたが、子供たちと白球を追いかけるうちに「野球自体を嫌いになったわけではないんだ」と愛着がわきあがってきた。
そこに、徳島の南球団社長から四国ILのトライアウト受験の誘いが舞い込む。「本気でやりたくなくって」と気分が乗らなかった岸を、南社長は「スタンドで見ているだけでいいから」と説得。トライアウトで特別合格し徳島に入団した岸は、入団1年目の2018年にいきなり38盗塁をマークして盗塁王に輝くなど再びグラウンドで存在感を示し始めた。岸は「野球が面白いと感じるようになってきて、野球で初めて努力をしたかもしれないです」とはにかみながら当時を振り返った。
ドラフト当日。支配下選手の最後、74番目に自分の名前が読み上げられると、それまでふわふわとしていた気持ちが落ち着き、「思っていたよりも(指名されるのが)先でした」と胸をなでおろした。華やかな球歴と、苦悩の日々を乗り越えてのNPB入りを果たした岸。潮崎哲也編成グループディレクターは、岸の内外野を器用にこなす抜群のセンスと俊足を「今のライオンズに一番必要」と太鼓判を押した。岸は「自分は打って打ってと押す選手ではない。相手が嫌がるバッターになりたい」と目を輝かせた。目標は高いユーティリティ性で日本代表にまで上り詰めた外崎のような選手になることだ。端正な顔立ちに熱い情熱を秘め、メットライフドームのダイヤモンドを颯爽と駆ける日もそう遠くはない。
(安藤かなみ / Kanami Ando)