育成から半年で侍ジャパンへ 鷹・周東を変えた転機と本多コーチからの言葉
春季キャンプ中にかけられた本多コーチの言葉「取り組みが甘い」
そして、その本多コーチの一言が周東を変えた。「キャンプ中ですね。『取り組みが甘い』と本多コーチから言われていました。ましては育成なので『周りとは違う。どう自分で考えて行動するか』というのはずっと言われていました」。
育成選手を数多く支配下へ、そして日本を代表する選手へと成長させているソフトバンクの考え方は“育成はプロにあらず”。支配下と育成は全くの別物で、育成選手は支配下選手以上に、野球に真摯に取り組み、野球のことを考えることが求められる。
周東も本多コーチからの言葉を受け「変わらないといけないなと思いましたね」という。己の生きる道は走力であることは自覚している。「走塁のことは1番考えます。それがなかったら、現状生き残れないですから。判断だったり打者の特徴、打球の特徴も分かっておかないといけないです」。どうすれば、自分の脚力を生かせるか。それを最大限に考えて成長を遂げてきた。
失敗の許されない極限の場面で起用されることがほとんど。それだけにポジティブ思考が大事になる。「自信を持つようにしてます。できるできると思わないと、走れなくなっちゃうので。戦場にポッと出されるようなものですからね……」。スペシャリストとしてかかるプレッシャー、苦労は絶えない。
先日まで行われていた日本シリーズでは代走として出場するだけで、球場の雰囲気を変え、塁上にいるだけで相手のバッテリーに尋常ではないプレッシャーをかけた。己の役割を「走るだけじゃない」と話していた周東。初の侍ジャパンの舞台で一体、どんな働きを見せてくれるのか。楽しみでならない。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)