NTT東日本、延長10回サヨナラ! 決めたのは背番号28の代打・二十八「落ち着いて打席に」
台風19号で通信設備などに被害を受け、復旧作業に追われる中で大会を迎えた
「第45回社会人野球日本選手権大会」第4日目が28日、京セラドームで行われた。第1試合のNTT東日本-伏木海陸運送は、同点で迎えた延長10回2死一、二塁から代打・二十八(つちや)貴大選手が右前適時打を放ちNTT東日本がサヨナラ勝利を納めた。采配が的中した飯塚監督は「彼が一番バットを振り込んで泥臭くやっている。なにかやってくれそうだった」と、一振りで試合を決めた二十八を称えた。
NTT東がミラクル発進だ。1点ビハインドで迎えた9回2死から上川畑の中越え二塁打が飛び出し、土壇場で試合を振り出しに戻すと、延長10回にまたも9回2死から背番号「28」の代打・二十八のサヨナラ適時打で試合を決めた。
「『決めてやる』と言う気持ちよりも、落ち着いて打席に入れました」という二十八は、この回から登板した2番手・竹中が投じた初球のストレートにバットを出してファウルに。「振れたのが大きかった。タイミングが合わせやすくなった」と2球目の内角スライダーを右前に運んだ。その間に、二走・向山が一気にホームに生還。土壇場から驚異の粘りを見せたNTT東が2回戦進出を決めた。
関東地方などを襲った台風19号や集中豪雨などで通信設備などに被害を受けたNTT東。今も復旧作業に追われている中で迎えた今大会にかける思いは強い。
試合の前日には「社員の方が一生懸命復旧作業をしている中で僕たちは野球をやらせてもらっている。忙しい合間に応援に来てくれている皆さんの前で情けない怠慢プレーはなしにしよう」と監督が選手に呼び掛けた。二十八は「形には見えないが、そういう思いがありました」と言葉に力を込めた。
昨年の日本選手権大会では延長12回タイブレークの末にサヨナラ負けを喫し1回戦で敗退。屈辱を味わった。今年の都市対抗でもまさかのベスト16に終わり、不完全燃焼で夏を終えていた。スタンドを埋めるオレンジの大応援団に、結果で応えるしかない。
(安藤かなみ / Kanami Ando)