ファンに送る選手生活最後の言葉 引退試合での感動スピーチを振り返る
本多氏「『走れ、走れ、本多』コールは、いつも、背中を押してくれました」
○本多雄一氏(ソフトバンク)
本多氏は2010年から2年連続で盗塁王に輝くなど、ソフトバンクの上位打線を担う存在として活躍。生え抜きとして13年間プレーした。まず、王貞治氏、秋山幸二氏、工藤公康氏という、師事してきた3人の監督に感謝の言葉を述べると、苦楽を共にしたチームメイトと歓喜を味わえたことは「僕の財産になりました」と語り、「チーム一丸となって戦うホークスはとてもすばらしいものでした」と仲間に感謝の言葉を述べて頭を下げた。
応援団やファンに対しても「『走れ、走れ、本多』コールは、いつも、背中を押してくれました」と感謝の言葉を述べて一礼。支えてくれた妻への言葉を述べる際には大粒の涙を流し、スピーチ終了後にはスタンドの様々な方向へあらためて頭を下げた。実直さがうかがえるスピーチを終えた後に、同期入団の松田宣浩が花束を渡しに来た時には、お互いに涙を浮かべて別れを惜しんだ。
○根元俊一氏(ロッテ)
根元氏は2008年に110試合で打率.296という成績を残して頭角を現し、2012年から2年間は粘り強い打撃を武器に二遊間のレギュラーも務めた。マリーンズ一筋13年間の現役生活を締めくくるスピーチは「まず初めに、大した成績も残していないこの私に、このようなすばらしい花道を作っていただき……」と、球団関係者、マリーンズの選手やスタッフ、対戦相手のソフトバンクとそのファンに向けた感謝を述べて始まった。
「あまり長くなりますと皆様の帰る時間が遅くなってしまいますので、そろそろ締めさせていただきたいと思います」と配慮も見せつつ、「日本一の千葉ロッテマリーンズファンの皆様。皆さんが歌ってくれる自分の応援歌が、本当に大好きでした。そんな中、大好きな野球ができたこと、そして、今日、ここで皆様に感謝の気持ちを伝えられること、本当に幸せに思います」と感謝を語り、翌日に引退試合を行う岡田氏の引退試合にも熱い声援を送ってくれるよう願っていた。
○岡田幸文氏(ロッテ)
2008年育成ドラフト6位でプロ入り。2011年にレギュラーの座を掴んで、同年から2年連続でゴールデングラブ賞を受賞した。スピーチでは「正直、こんな日が来るとは思いませんでした。ただがむしゃらに、ボールを追いかけ、グラウンドを駆けまわる。そういった、プレーでした。ホームランも打ったことはありません。なのに、10年間もできました」と、デビューから2501打席連続無本塁打の日本記録にも触れながら、自身のキャリアへの充実感をにじませた。
引退試合で3安打を放つまで59打席連続無安打と、野手としての日本記録を作るほどのスランプにあえいでいたが、「いい時も悪い時も、いつも変わらず、熱い声援をくださったファンの皆様、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と、あらためて謝意を示した。「マリーンズはまだまだ強くなります。これからもマリーンズをよろしくお願いします」と締めくくり、選手、コーチだけではなく、裏方やスタッフとも握手を交わして現役生活に別れを告げた。