ファンに送る選手生活最後の言葉 引退試合での感動スピーチを振り返る
今季43歳で引退の福浦「ファンの声援が力となり、勇気をもらい、今日まで僕の身体を動かしてもらえました」
○佐藤達也氏(オリックス)
快速球を武器にリリーフとして出色の働きを見せ、2013年から2年連続で防御率1点台で最優秀中継ぎを受賞。リーグを代表する中継ぎとして君臨した。引退セレモニーでは、共にチームのブルペンを支えた平野佳寿投手(現・ダイヤモンドバックス)からのビデオメッセージも紹介された。佐藤氏本人は「野球を始めた時から、まさかプロ野球選手になるとは思っていなかった」というが、「本当にすばらしい人たちに恵まれてプロ野球選手になれたと思っています」と深く感謝していた。
プロに入ってからも「素晴らしい球団と、最高のチームメイトと、そして、最高のファンの皆様と一緒にプレーできたのは、僕にとって本当に幸せでした」と周囲への謝意は続き、「7年間という短い間でしたが、本当に、本当に、ありがとうございました」と、大車輪の活躍で駆け抜けた現役生活を締めくくった。「これからは違う形となりますが、オリックスという球団を支えていきたいと思っています。皆さん、これからもよろしくお願いします」というスピーチでの言葉通り、現在は広報という新たな立場で球団の力となっている。
○福浦和也選手(ロッテ)
ロッテ一筋26年の野球人生を送り、2001年の首位打者、通算2000安打をはじめとする数々の偉業を成し遂げてきた。「千葉ロッテマリーンズに入団し、26年経ちました。自分の力では、ここまでできませんでした」と、歴代の監督、コーチ、チームメイトたちに加えて、マネージャー、広報、スタッフ、用具担当、裏方、トレーナーといった、陰ながらチームを支えている人々にも感謝し、「ファンの声援が力となり、勇気をもらい、今日まで僕の身体を動かしてもらえました」とあらためてファンに気持ちを伝えた。
両親、夫人、子どもたちへの謝意も口にし、「最後になりますが、自分の叶えられなかったリーグ優勝、そして、井口監督の胴上げ。ここにいる1軍選手、そして、2軍で一緒に頑張っている選手たちが必ず叶えてくれると思います。そのためにも、ファンの皆様、これからも熱いご声援、どうかよろしくお願いします」と後輩に期待をかけた。最後は「今日たくさんの人に見送っていただき、幸せな野球人生でした。ファンの皆様、26年間、本当にありがとうございました」と締めくくり、“幕張の安打製造機”はフィールドを去った。
○田中賢介選手(日本ハム)
ファイターズで18年間プレーし、二塁手として6度のベストナインと5度のゴールデングラブ賞を受賞。2度の日本一、5度のリーグ優勝にも大きく貢献した。「私にとってファイターズは家族です」という言葉から始まったスピーチは、球団職員、チームスタッフ、応援団とファン、チームメイトへ順番に感謝の念を述べていき、「その他に感謝したい人たちは言い切れないほどたくさんいます。その全ての人たちが僕にとっては家族です。その家族と共に過ごせた20年間は最高に幸せな時間でした」と紡いだ。
続けて、もう一つの“家族”である両親と夫人への感謝も口に。苦しんでいた時期にかけられた励ましの言葉を紹介する際には、思わず感極まった。「家族は、どんな時も君たちの味方です。いつも暖かく見守っています。だから失敗を恐れず、どんどんチャレンジしてほしい。私もたくさん失敗してきました。これからもたくさん失敗すると思います」と北海道、全国の子どもたちへのアドバイスも。「最後の打席の『賢介』コール、色んな思い出が蘇って涙が止まりませんでした。みんな、ありがとう。心から感謝しています。20年間、ありがとうございました」と涙ながらに口にし、北海道への恩返しを誓っていた。
○岸田護投手(オリックス)
岸田は2009年に先発として10勝、2011年には抑えとして33セーブと様々な役割で活躍。投手陣のリーダー格として、オリックス一筋14年間の現役生活を送った。始めに引退試合開催に尽力した球団関係者、スポンサー、そして対戦相手のソフトバンクの球団関係者とファンに感謝の言葉を述べると、戦友たちや裏方のスタッフに加えて「このケガの多い身体をいつも癒してくれた」とコンディショニングコーチやトレーナーへの感謝も口にした。
小学校から社会人まで含めたアマチュア時代のチームメイトや、恩師、治療院や病院の先生、夫人、娘、両親と、岸田が感謝する相手は尽きなかった。「これからオリックスは強くなります。長い長いトンネルを抜けようとしています」「絶対強くなります。これからのオリックスは面白いです」と断言し、「その先、頂点へ導いてくれるのは、いつも熱い声援を送ってくれるファンの皆さんです。ファンの皆さんがこのチームを優勝させます。選手は応えます。これからも末永くオリックスをよろしくお願いします」と、多くの人に慕われた男は最後までチームを愛する姿勢を崩さなかった。
「パーソル パ・リーグTV」では、10月30日から過去の引退試合やセレモニーの様子を1試合丸々配信する予定。配信予定の選手はこちら。
・田中賢介
・福浦和也
・岸田護
・斎藤隆
・武田勝
・小久保裕紀
・小谷野栄一
・矢野謙次
・岡田幸文
・サブロー
・金子誠
・本多雄一
・森本稀哲
・西口文也
球界を代表した名選手が見せた最後の雄姿や、ファンに残した最後の挨拶を、もう一度ご覧になってみてはいかがだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)