FA宣言の楽天美馬はNPB上位の安定した先発投手 データ上はどの球団が最適?
獲得交渉を行うことを明言した巨人、ロッテの美馬獲得は効果的か?
交渉に動くとの報道があった巨人、ロッテも見てみよう。巨人の先発は上位に好投手はいるものの、ローテーション外にまで十分なレベルの投手を揃えられているわけではない。当然シーズン中には故障離脱もあるためこれらの投手の登板機会も増える。投手を補強すべきという声が大きいのはこうした部分を見てのことだろう。また救援に弱点も抱えているため、ローテーションから溢れた投手を救援で起用できるメリットもある。ただそれでもこれまで挙げた西武や中日に比べると、問題は小さい。
ロッテはここまで挙げた中で、今季最も先発の問題が小さかった球団だ。表を見ると、8番手以降にも優れたFIPを記録した先発が複数人いる。美馬が加入したとしても、レベルが劇的に向上することは想像しづらい。益田直也の残留も確定し、救援も危機的状況ではなくなった。ローテーションから溢れた投手が救援にまわることによるメリットもそこまで大きくはなさそうだ。
6球団を検討した結果、西武、中日が美馬を獲得した場合加入効果が大きくなりそうだ。どちらをベストとするかは難しいが、今回は中日を美馬獲得の最適球団としたい。投手には故障がつきものであるため、シーズンを通して6名でローテーションをまわすのは不可能だ。ローテーション内では充実を見せる中日の先発も、いざシーズンが始まれば、かなりレベルが落ちるローテーション外の投手の先発機会が多くなるだろう。美馬の加入があれば中日のこの大きな問題を小さくすることができそうだ。今回はこの点を重視し、美馬の最適球団を中日とした。
(DELTA)
DELTA http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。