FA宣言の鷹・福田はここ2年は年間30本塁打ペース データ上はどの球団が最適か
中堅を守ることができる守備力に加え、ここ2年で長打力が大幅アップ
11月2日、今年のFA宣言選手が公示された。FA市場には有力な選手が多いため、彼らがどの球団と契約するかによってリーグの戦力バランスが変化する。しかしFA選手を獲得しても球団の戦力的なニーズに合っていなければ効果的な補強とはなりえない。このシリーズではFA選手がどの球団に移籍すれば最も効果的な補強になるか、最適球団を探る。今回はソフトバンクからFA宣言した福田秀平編だ。
適した球団を探る前に、福田秀獲得を狙う上で抑えておかなければならないポイントを確認しよう。ソフトバンクはここ数年外野に柳田悠岐、中村晃、上林誠知、ジュリスベル・グラシアルら有力な選手を数多く保有していた。このため福田秀の出場機会は限られ、これらメンバーの故障や体調不良がない限り常時出場することはなかった。
そんな福田秀の強みは外野手としての守備力である。福田秀は今季柳田欠場時を中心に229イニング中堅のポジションを守った。同ポジションの平均的な守備者に比べ守備でどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)では、福田秀の今季の中堅守備評価は+4.6。平均的な中堅手に比べ229イニングで4.6点多く失点を防いだと評価されている。1シーズン中堅を守った実績はないため、この成績がどれだけ信頼に足るものかはわからないが、中堅手としての経験がある点は外野手として大きな魅力だ。
そして福田秀は控えレベルではない打力も備えている。特に近年は長打力が開花し、ここ2年に限定すると311打席で16本塁打。フルシーズン出場の目安である600打席に換算すると、30本を超えるペースで本塁打を放っている。この長打力アップがこれほどの争奪戦を生んでいる一つの要因だろう。
一方で、これら好成績はほとんどが右投手との対戦で残したものであることにも注意しなければならない。打者の打席あたりにおける総合的な貢献度を表すOPS(On-base plus slugging)で見ると、ここ2年右投手に対しては.800を超える好成績を残しているのに対し、左投手に対しては.500以下。かなり左投手を打てていないようだ。
ただ福田秀の対左右別打席数を2015年以降で見ると、右投手との対戦622打席に対し、左投手との対戦はわずか139打席。そもそも左投手との対戦チャンスをもらえていないという事情もある。この左投手に対する実績のなさをどう考えるかで福田秀に対する評価が変わってきそうだ。