受ける捕手は「怖い」 SNSで話題の“魔球”ナックルを操る国立大生、プロへの挑戦
「今の実力では無理」も…夢はナックルボーラーとしてMLBのマウンドに立つこと
メジャーリーグで活躍したティム・ウェイクフィールド(元レッドソックス)やRA・ディッキー(元メッツ)らナックルボーラーの投球映像を見て、勉強した。「腕の使い方、リリースの時の指先の感じを見ました。いかに無回転でボールを投げられるかが重要で、大学2年生くらいの時にコツをつかんで、無回転になる確率が上がりました」。最初は中学時代に遊びながら投げていた。その「コツ」というのは、ウェイクフィールドがテレビ番組で公開した握り方にあった。これまでボールの縫い目に当てていた指を、革の部分に当てるようにマネをすると、面白いように変化し、急に精度がアップした。3年生になった今年は「全球、ナックルです」とキャッチボールや練習からすべて“無回転ボール”を投げるようになった。
夢は大きく、MLBのマウンドにナックルボーラーとして立つことと言い切る。「もちろん、今の実力ではメジャーリーガーになることは無理だと思っています。練習を積んで、ボールの精度を高めていけば、可能になるんじゃないかと思っています」と前を見据える。
身長は172センチと小柄で、まだ線も細い。球速も直球の最速は130キロ。ナックルボールの最速も110キロだという。今秋のリーグ戦の登板は1試合のみと経験も決して多くはない。でも、そんなことは関係ない。厳しい道であると覚悟はできている。ナックルだけで勝負なんて無謀、という声があるのは承知の上。夢を叶えるため、試合で投げられる環境があるのなら、国内外問わず、チャレンジを続けていく。SNSを通じて伝わった激励の声は、一人の夢を追う国立大生の背中を押した。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)