【プレミア12】無得点も4回の攻撃に侍Jの底力 元オリ監督森脇氏「打順の巡りは常にプロセスがある」
「タフなゲームでは、3者凡退で終わることで相手に流れを渡すことにも」
そしてこの試合で一番注目したのは無得点に終わったが4回の攻撃だ。直前に韓国打線の猛攻を受け1点に迫られた。次の1点が流れを左右する場面で日本は先頭の丸がヒットで出塁したが鈴木が併殺。3人で終われば嫌な流れだったが浅村が四球を選び吉田が2打席連続の安打で一、三塁の好機を作った。
タフなゲームでは3者凡退で終わることで相手に流れを渡すことにもなる。結果的に0点で終わったが勢いに乗っていた韓国に“日本の粘り”を与えることができた。結果論と言われるとそれまでだが、続く5回の攻撃では山田、丸のタイムリーで2点を奪いリードを広げた。私は0点に終わった4回こそが5回の2点に繋がったのではと感じている。時間を経て、即席ではなく本当のチームになったと強く感じた瞬間だった。
不思議なものでチャンスでの打順の巡りは常にプロセスがある。勝手に回るのではなく、打順は必然的に回っていくのだ。たとえ凡打、無得点に終わったとしても必ず流れはあり、それをいかに持ってくることができるかが勝負を左右する。牽制死を含めたミスは勿論だが、一塁までの全力疾走を怠る凡走こそ流れを変えることを肝に命じておかなければならない。流れを掴む強さ、掴んだ流れを決して相手に渡さないしぶとさが短期決戦では特に不可欠だ。日本は14安打10得点、韓国は12安打8得点と打ち合いになったが見応え十分のゲームだった。
しかし、韓国との試合は最後まで何が起こるか分からない。彼らの一番の長所は反発力だ。決して点差が開いても諦めることなく一気に攻め立ててくる。これは見事だ。
いよいよ17日は決勝戦。相手は再び韓国だがこの日とはまた違ったゲーム展開になるはずだ。チームが一つになった攻撃が見えた日本、そして反発力で向かってくる韓国。決勝戦に相応しい素晴らしいゲームになることは間違いない。
○『世界野球プレミア12』の主な予定(テレビ朝日系列で放送)
11月17日(日)午後6時34分~ 決勝「日本×韓国」(ゲスト解説:上原浩治、秋山翔吾)
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)