パ・リーグ内野安打ランキングが面白い ハム西川がトップも比率は鷹の韋駄天

日本ハム・西川遥輝【写真:石川加奈子】
日本ハム・西川遥輝【写真:石川加奈子】

「内野安打」にまつわる、3つの分野をひも解く

 ヒットが記録されるかどうかは、投手と打者の2人のみの勝負によって決まるわけではない。抜けるかと思われた打球が内野手の好守に阻まれたが、打者走者が俊足だったために内野安打をもぎ取った、というケースや、内野安打になるかもしれない打球で間一髪アウトになりヒットを損した、といったシーンは、野球を観戦するうえで少なからず印象に残るものだ。

 また、俊足の打者がセーフティバントを用いて、能動的に内野安打を生み出そうとするケースもある。とはいえ、内野安打を多く記録できるかどうかは、基本的には打撃スタイルに影響されるもの。多くの盗塁を記録している選手であっても、内野安打の比率自体はそこまで多くない、というケースも、往々にして存在するものだ。

 今回は、今季のパ・リーグにおける、「内野安打の本数」「安打数内における、内野安打の比率」「安打から内野安打を除いた数字を基にした打率」という、3つの分野におけるトップ10のランキングをそれぞれ紹介。なかなか表に出てくることの少ない、内野安打にまつわるさまざまな数字を、ひも解いていきたい。

 まずは、今季のパ・リーグにおける内野安打数トップ10に入った選手の顔ぶれを紹介していきたい。参考までに、各選手の今季の盗塁、盗塁刺、盗塁成功率も付記する。

1位 31本
西川遥輝外野手(日本ハム)
19盗塁 5盗塁刺 盗塁成功率79.2%

2位 28本
源田壮亮内野手(西武)
30盗塁 9盗塁刺 盗塁成功率76.9%

3位 22本
牧原大成内野手(ソフトバンク)
10盗塁 13盗塁刺 盗塁成功率43.5%

4位 21本
金子侑司外野手(西武)
41盗塁 10盗塁刺 盗塁成功率80.4%

5位 19本
中島卓也内野手(日本ハム)
12盗塁 5盗塁刺 盗塁成功率70.6%

6位タイ 17本
茂木栄五郎内野手(楽天)
7盗塁 5盗塁刺 盗塁成功率58.3%
島内宏明外野手(楽天)
3盗塁 4盗塁刺 盗塁成功率42.9%
大田泰示外野手(日本ハム)
6盗塁 2盗塁刺 盗塁成功率75.0%

9位 16本
秋山翔吾外野手(西武)
12盗塁 8盗塁刺 盗塁成功率60.0%

10位タイ 15本
外崎修汰内野手(西武)
22盗塁 6盗塁刺 盗塁成功率78.6%
荻野貴司外野手(ロッテ)
28盗塁 10盗塁刺 盗塁成功率73.7%

 リーグトップの数字を記録したのは、パ・リーグ盗塁王に3度輝いた経験を持つ韋駄天・西川。今季も打率.288、出塁率.393と安定した打撃成績を残したが、盗塁の面では盗塁数、成功率ともに例年と比べると振るわなかった。だが、今季はセーフティバントを試みた際に、一塁到達3秒55という見事な数字を記録。その脚力は、内野安打という面において大いに発揮されていた。

 記録の性質から言っても、2位以下にも俊足の選手が多く名を連ねたのは当然といえるか。また、牧原と中島の2選手以外は、いずれも規定打席に到達した各球団のレギュラーであるところも示唆的だ。打者走者の足が速ければ、守る側もそれに対応したシフトを敷き、素早く打球を処理しようという心構えを持ってくる。それだけに、それをかいくぐって多くの内野安打を記録するためには、相応の打席数が必要になるということか。

 俊足の持ち主であると広く認められる存在ながら盗塁数や盗塁企図数は多くない、という選手は決して少なくない。今回トップ10に入った選手の中にも、盗塁成功率が50%を割り込んでいる牧原や島内、盗塁数が1桁にとどまった6位タイの残り2選手といった面々が存在する。彼らは盗塁よりも、打者走者としてその走力をフルに発揮しているのかもしれない。

全安打の1/3以上が内野安打という選手も存在

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