パ・リーグ内野安打ランキングが面白い ハム西川がトップも比率は鷹の韋駄天
打率から内野安打を除くと、その数字はどう変わる?
最後に、シーズン中に放った安打の中で、内野安打を除いた打率がどのような数字になっているかを紹介していきたい。今季のパ・リーグにおける規定打席に到達した選手の中で、内野安打を除く打率がトップ10に入った選手と、それに関連する成績は以下の通りだ。
1位 森友哉捕手(西武)
492打数162安打 内野安打13本 内野安打比率8% 打率.329 内野安打を除く打率.311
2位 吉田正尚外野手(オリックス)
521打数168安打 内野安打13本 内野安打比率7.7% 打率.322 内野安打を除く打率.305
3位 荻野貴司外野手(ロッテ)
508打数160安打 内野安打15本 内野安打比率9.4% 打率.315 内野安打を除く打率.294
4位 銀次内野手(楽天)
529打数161安打 内野安打11本 内野安打比率6.8% 打率.304 内野安打を除く打率.290
5位 秋山翔吾外野手(西武)
590打数179安打 内野安打16本 内野安打比率8.9% 打率.303 内野安打を除く打率.284
6位 近藤健介外野手(日本ハム)
490打数148安打 内野安打13本 内野安打比率8.8% 打率.302 内野安打を除く打率.283
7位 中村剛也内野手(西武)
496打数142安打 内野安打5本 内野安打比率3.5% 打率.286 内野安打を除く打率.279
8位 鈴木大地内野手(ロッテ)
527打数152安打 内野安打9本 内野安打比率5.9% 打率.288 内野安打を除く打率.276
9位 大田泰示外野手(日本ハム)
557打数161安打 内野安打17本 内野安打比率10.6% 打率.289 内野安打を除く打率.267
10位 島内宏明外野手(楽天)
506打数145安打 内野安打17本 内野安打比率11.7% 打率.287 内野安打を除く打率.262
森は内野安打を含めた数字だけではなく、内野安打を除いた打率でも見事に首位打者に輝いている。2位となったのもシーズン打率2位の吉田正であり、偶然にも内野安打の数も両者ともに同じ13本。内野安打を除いた打率が.300を超えたのもこの2選手のみであり、あらためて両選手が持つ高い技術を裏付けるような結果となっている。
また、内野安打数のランキングでも共にトップ10に入っていた荻野貴と秋山が、それぞれ3位と5位に入っていたのはやや意外な結果と言えるか。両選手ともに1番打者ながら、いわゆる「走り打ち」というよりはしっかりと振り切る打撃スタイルの持ち主。内野安打よりも外野に飛ぶ安打が多い理由は、そのあたりにもあるかもしれない。
基本的にはシーズン打率が良かった選手がこちらのランキングでもそのまま上位に来る傾向が強いが、内野安打を含めた数字では6人いた打率.300以上の選手が、内野安打を除いた数字ではわずか2人に。打率.280以上の選手というくくりでも、12人から6人へと大きく減少する。今季は中村選手を除いて、強打者系の選手が軒並み低打率にあえいだ面も影響はしているだろうが、先述したような小さくない差異の存在には驚かされるところだ。
もちろん、選手個々の特性によって違いはあるが、こうして振り返ってみると、年間の打率や安打数の中において内野安打が占める比率が、思いのほか多いということに気づかされる。中には西川のように内野安打だけで年間30本以上のヒットを上積みする選手も存在しており、相手守備に与えるプレッシャーも含めて、内野安打というカテゴリーは打撃において小さくないウエートを占めているといえそうだ。
内野安打の数は決して日の当たる数字ではないが、選手のタイプや、その打撃内容を測るうえでも一定の指標になりうる数字の一つだ。来季も俊足自慢の選手たちがその足で「H」のランプを勝ち取るシーンが、きっと数多く見られることだろう。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)