「甲子園で試合をしたい」野球女子たちの願いに応える、仙台での新たな取り組み
楽天生命パークで行われた女子野球の交流大会
「楽天イーグルスカップ高校女子硬式野球交流大会」が11月30日、楽天生命パーク宮城で開催された。プロ野球の楽天と提携するクラーク記念国際高校仙台キャンパス(宮城、以下クラーク)、叡明(埼玉)、開志学園(新潟)の3校が参加し、総当たりで3試合が行われた。
プロ野球・楽天の本拠地である楽天生命パーク宮城に高校の女子野球部員たちの元気な声が響いた。第1試合はクラークが13対6で叡明に勝利。第2試合は開志学園が2対0で叡明を下した。第3試合のクラーク対開志学園は、仙台キャンパスの一般生徒とともに冒険家のクラーク・三浦雄一郎校長が北海道から駆けつけて観戦。2回に1点を先制されたクラークだったが、4回に庄司美空主将(2年)が同点タイムリーを放った。6回に勝ち越しを許したが、最終7回に中村莉菜(2年)のタイムリーで再び同点に追いつき、2対2で引き分けた。エベレスト最高齢登頂記録を3度にわたって更新した三浦校長の前であきらめない姿勢を示した。
今年3月の選抜大会で高校生女子の最速125キロをマークし、この日の第3試合で完投したエース小野寺佳奈投手(2年)は「この球場でやるのは自分たちの憧れだったので、ここで試合ができてよかったなと思います」と笑顔。侍ジャパン女子代表に選ばれ、11月9日から15日まで中国で開催されたアジアカップに出場してきた。
中国の球場のマウンドが硬かった影響でまだ感覚が戻っておらず、「力の半分くらい」の調子だったという。前半は緩急を織り交ぜた投球だったが、最後の打者から117キロのストレートで見逃し三振を奪うなど、後半は自慢のストレートを生かした投球を披露。2点は失ったものの、来年につながる内容で締めくくった。
クラークの女子硬式野球部は昨年4月に創部されたばかりで、地元の楽天と提携してチーム作りをしている。石田隆司監督は2008年から11年までの4年間、楽天でプレーした元投手。西武で活躍し、プロでのコーチ経験が豊富な広橋公寿氏がヘッドコーチとして指導している。楽天の練習見学や試合観戦をすることもあり、プロの技術を間近で吸収する機会もある。選手たちの努力とこうした環境の成果で、今年は3月の選抜大会で準優勝。夏の選手権大会は1回戦敗退だったが、秋のユース大会でも決勝に進出するなど、実績を挙げている。