「野村ID」受け継ぐ楽天三木監督と館山2軍投手コーチ 荒波を乗り越えた2人の野球人生

館山氏にかかる期待、藤平、釜田ら若手の台頭も

 ファームの投手コーチに入閣した館山昌平氏は、プロ17年目の今季で現役を引退したばかり。2002年のドラフト会議で3巡目で日本大から入団。1981年3月17日生まれ、いわゆる「松坂世代」と呼ばれる世代だ。

 スリークオーターから投じられる力強い直球は、現役最後の年になった今季も140キロ中盤を記録(6月12日楽天戦では最速144キロ)。さらにスライダー、フォークなど多彩な変化球で打者を幻惑。巧みな投球で2008年から5年連続2桁勝利を挙げ、右腕の館山氏と左腕の石川雅規投手の二枚看板で東京ヤクルトをけん引した。

 館山氏が多くの野球ファンをひきつけた理由として、ケガ・手術を何度も乗り越える不撓不屈の姿も挙げられるだろう。右ひじ靱帯、血行障害の治療のため引退後を含めて計10度の手術を経験。それでも必ずマウンドへ舞い戻った。右ひじ手術明けで6勝を挙げた2015年にはカムバック賞を受賞している。

 荒波を乗り越えてきた右腕は、どのような指導者になるだろうか……。投球術の指南はもちろんだが、自身の経験と幅広い見識を元に体との向き合い方や心のあり方も伝えてくれるだろう。今季ファームのチーム防御率はイースタン2位の3.01。そこにはイースタン・リーグ最多107奪三振を記録した藤平投手、館山コーチと同じようにケガからの完全復活を目指す釜田佳直投手など成長を待たれる投手陣が在籍している。

 また、ヤクルトから加入し、今季楽天での1年目を終えた由規投手は館山コーチと「スワローズとイーグルスの設備、環境の違いについて話した」という。杜の都で指導者人生をスタートさせた館山コーチ。彼の手ほどきで若鷲たちには大きく羽ばたいていって欲しい。

(「パ・リーグ インサイト」菊地綾子)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY