指導者を表彰する「ベストコーチングアワード」誕生 現場で生かしたい医学の知識

元横浜・野村弘樹氏「何事も“過ぎない”ことが大切」

 続いて行われたパネルディスカッションには、元横浜の野村弘樹氏、ロッテの大塚明1軍外野守備・走塁コーチ、今季現役引退した元ヤクルトの楽天・館山昌平2軍投手コーチ、ヤクルトの近藤一樹投手、元DeNAの中後悠平氏、プロ野球の丹波幸一審判員、ユーチューバーのクーニン氏が登場した。これまでトミー・ジョン手術(肘内側側副靱帯再建手術)3度を含む10度の肘手術を経験している館山コーチは、ストレッチの大切さを熱弁。「プロ野球に入った時に、先輩の体の柔らかさに驚いた。正しい角度でストレッチをする姿を見て、自分も意識するようにした。もっと早くから取り組んでおけばよかったと思います」と話した。

 自身の息子も中学の頃に肘を痛めて手術した経験を持つという野村氏は、「子どもたちの実年齢と骨年齢が違うということを、指導者が理解するべき。練習強度の見極めは、しっかり指導者がするべき」と提言。指導者に対して「一番は何事も“過ぎない”ことが大切。試合に勝ちたい、勝たせたいと思う中でも、投げすぎない、練習しすぎないことを意識して、リカバリーに務めてほしい」と訴えた。

 SMCAは2019年、代表を務める中野司氏を中心に、元ロッテの荻野忠寛氏らが設立した団体で、「子どもの適切なスポーツ環境を整備する」ことを目指している。そのためには、子どもの体の発育を理解し、基礎的な医学的知識を持った指導者の育成が必要だとし、各地で啓蒙活動を行うと同時に、指導者ライセンスを発行。限りない可能性を持つ子どもたちの成長を応援することを目的としている。SMCAの特別顧問も務める古島医師は「正しい知識を持ち、実践する指導者が表彰される制度が生まれることで、全国の指導者の意識改革に繋がれば」と話した。

 今回受賞した41チームのうち、最も評価の高いトリプルスターズを獲得した13チームは下記の通り。

○「ベストコーチングアワード2019」トリプルスターズ受賞チーム
西田川ジュニアクラブ(全軟連・福岡)
TOHOパイレーツ(全軟連・東京都)
八幡イーグルス(全軟連・東京都)
浦和ボーイズ(ボーイズ・埼玉県)
本庄ボーイズ(ボーイズ・埼玉県)
館林慶友ポニー(ポニー・群馬県)
南生田ウイングス(全軟連・神奈川県)
レッドスネークコルツ(全軟連・神奈川県)
堺ビッグボーイズ(ボーイズ・大阪府)
春日学園少年野球クラブ(全軟連・茨城県)
和光リバーツインズ(全軟連・埼玉県)
特定非営利活動法人 前橋中央硬式野球倶楽部(ボーイズ・群馬県)
玉名町少年野球倶楽部(全軟連・熊本県)

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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