DeNAドキュメンタリー映像制作の舞台裏 撮影監督が明かすチームとの距離感

撮りためた400時間の映像を2時間に編集「よりシンプルに伝えることを意識」

 撮りためた約400時間の映像を、2時間ほどの作品にまとめあげる。通常のドキュメンタリー映画の場合、編集開始から公開まで1年ほどの時間が費やされるが、『FOR REAL』の場合、編集時間はわずか1か月半。短い時間の中で最高の作品を完成させるためにも、球団の制作チームとこまめなコミュニケーションをとった。

「作品の描き方など、球団のイメージを伺った上で撮影に取り組みました。最終的なアウトプットの構成はシーズン後半でしたが、シーズン前半から『ここで大事なものはこれだ』と話し合いながら、そこを軸に撮影して、それがどういうアウトプットになるかを話し合う。シーズン中に少しずつ積み上げていったものを、最後に取捨選択する作業でしたね。ただ、新たにエピソードを1つ足しましょうとなると、編集する作業以上に素材を探す方が大変。約400時間ある映像の海の中から必要なパートを探し出す。その作業を軽減するために、クリップを作っていましたが、それでも大変でした」

 やや長めに作った映像を最終的に削る作業の中で意識したのは、「よりシンプルに伝えること」だったという。

「見る方が理解しやすいように、よりシンプルに伝えることを意識しました。野球の専門知識がないとわからないような難しい作品だと、本当にファンの方じゃないと伝わらない内容になってしまう。限られた2時間の中で、野球をあまり知らない方、ベイスターズのファンではない方が見てもわかる作品になってほしいなと、そういう風に思っています。

 選手のパーソナルな部分が見られることが、チームや選手を好きになる要素の1つだと思うので、選手一人ひとりを丁寧に描くように意識しました。ベイスターズファンじゃない方が見て、ファンになってくれたら、僕もうれしいなと思います」

 選手のパーソナルな部分がより鮮明に描かれた今回の作品だが、具体的にはどのような仕上がりになったのだろうか。辻本監督が見たチームの今と未来も合わせ、後編でお届けする。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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