甲子園未出場、指名漏れ、社会人時代の挫折… 西武ドラフト1位・宮川哲が歩んだ野球人生
中日のドラフト3位指名、1学年上の先輩・岡野の存在…
「岡野さんはタイプが真逆です。淡々と投げて、引き出しが多くて、ギアを上げて下げてができる。僕は基本ギア上げっぱなしなんで、『こういう考え方もあるんだな』と新鮮なことばかりでした。岡野さんは去年指名漏れを経験しましたが、今年は去年より良かった。『さすがだな』と思います。監督にも『エースは岡野だからな』と言われていました。最初は悔しかったですけど、岡野さんは投げたら負けない。『これがエースだな』と思いました。岡野さんに食らいついて、2戦目で投げられるようにしてきました」
岡野は指名漏れの悔しさをバネに、今季は防御率0.87という安定したピッチングを見せ、中日から3位指名を勝ち取った。ともにプロの舞台への切符を掴んだが、岡野とともに切磋琢磨した社会人の2年間は、なくてはならない時間だったと振り返る。
「投球フォームを変えてよくなりました。大学まではただ勢いで投げていましたが、考えて投球ができるようにもなりました。社会人は大学よりレベルが上がります。いろいろな人から話を聞けたのはよかったし、勝つか負けるかの勝負が好きなので、社会人野球は楽しかったです」
プロで活躍するために必要だと考えていることは「挙げたらきりがない」という。都市対抗、日本選手権の2大大会では計4試合に登板し1勝と、結果が残せていないという課題も残る。
「今年の都市対抗も、自分にとって初戦だったJR東日本東北戦は力んでしまいました。力を抜くことを意識した準決勝のJFE東日本戦は良かったんですけど、負けてしまった。冷静になればいいんですけど、大会になると気持ちが入って力んじゃうんです。力を入れないように投げることは継続して、いろんなことを吸収したい。全然レベルが低いので、プロに行って1からレベルアップしないと投げられない。新人王とかも全然考えていないです。とりあえず、死ぬ気でやろうと思っています」
強気のピッチングが持ち味の右腕は、社会人の2年間で身に着けた「力を抜く」投球でチームのリーグ3連覇に貢献することができるか。考え方も大人になったという24歳の右腕が、プロのマウンドでどんな活躍を見せてくれるのか、楽しみだ。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)