1億円の大台を突破した鷹・甲斐 胸に刻む野村克也氏からの言葉「功は人に譲れ」
野村氏が着けた「19」を来季から背負う甲斐「言われて真に受けた」
23日にヤフオクドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、今季の年俸6500万円から4500万円増の1億1000万円でサインしたソフトバンクの甲斐拓也捕手。球団では会長付き特別アドバイザーに就任した城島健司氏以来となる、生え抜きの1億円キャッチャーとなり、育成出身野手では初の1億円の大台到達者となった。(金額は推定)
今季は自己最多の137試合に出場して初の規定打席に到達。いずれもキャリアハイとなる打率.260、11本塁打43打点の好成績を残した。交渉後の会見の場では「最大限の評価をしていただきました。今年1年やってチームに貢献してくれたと言っていただきました。その言葉でやっていてよかったと思いました」と笑顔も浮かんだ。
育成選手からようやく1億円の大台に手を届かせた“甲斐キャノン”。苦難の時があったこそ、その喜びもひとしおで「何年か前の自分からは考えられないし、(大台に)乗ったというのも、1年目、育成の時からは考えられない数字なので感慨深く感じますね」と語った。
来季からは支配下昇格時から背負っていた「62」から、かつて南海時代に尊敬する野村克也氏が背負った「19」に背番号が変更になる。TV番組の対談した際に野村氏から着用を望まれたことが意識したキッカケ。「62も好きな番号で、支配下になってやっともらえた2桁の番号だった。何年か前に野村さんに『着けて欲しい』と言われ、それを真に受けて着けたいと思いました。やり甲斐も感じますし、プレッシャーもある。もっと自分にプレッシャーをかけてやらないといけないと思っています。このままでいいとは思っていないです」と覚悟も口にした。
その野村氏の著書を読み漁り、考えを吸収している甲斐。印象に残り、大事にしている言葉として「功は人に譲れ」を挙げる。「ずっと残っている言葉ですね。それからずっと思っている言葉ですし、捕手はそういうポジション。大事にしてやっています」。捕手はあくまでも“黒子”。チームを支える屋台骨であるべき、とする言葉を胸に刻み込んでいる。
「来年1年が大事な1年だと思います。五輪もありますし、1番はチームがリーグ優勝すること。キャッチャーとしてリーグ優勝したいという思いが強い。もっと力つけてチームの優勝に貢献したい」。3年ぶりのリーグ優勝、4年連続の日本一、そして東京五輪出場と金メダル獲得。野球人生でも大きな意味を持つ2020年に、甲斐拓也が新たな相棒「19」と挑む。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)