【社会人野球】指名漏れを経験した2投手をプロに 東芝平馬監督の指導方針とは

中日ドラフト3位岡野はチームのエース、平馬氏助言で直球を磨いてプロの世界へ

 一方、指揮官がチームのエースだと認める岡野だが、昨年のドラフトでは指名漏れを経験している。球速が足りないことに加えて、秋に調子を落としてしまうことが原因だったのではないかと平馬監督は考えている。社会人3年目の今シーズンは、防御率0.87と安定した成績を残し、昨年の悔しさを糧に成長を遂げ、プロへの切符を手にした。

「今年もそうでしたが、春先はすごくいいのに、秋になると落ちてくる。ドラフトを意識しているのかもしれません。指名漏れをしたときは落ち込んでいましたが、『まだ1年ある。何が足りないか考えて頑張ろう』という話はしました。今年は去年より安定感が増し、ここぞというときのスピードも出てきました。そういったところを評価してもらえたのではないかと思います」

 チームとしては投手陣の柱を2人同時に失い「頭が痛い」と苦笑いするが、2人の穴を埋める新たな戦力が出てくることを期待している。そして、チームの若手選手には、ただプロを目指すのではなく、まずはチームの戦力になることを考えて欲しいと話す。

「大学より社会人のほうがレベルが高いので、プロを目指して入ってくる選手たちも一度壁にぶち当たると思います。ただ『きた球を打つ』だけだと、社会人でもレギュラーにはなれない。なぜ打てたのか、言葉で説明できるようになる必要があると思います。そこを突きつめていったら、2年間はあっという間です。まずはチームの戦力になるためにがむしゃらにやったら、プロへの道も自然と開けてくると思います」

 2000年シドニー五輪日本代表の経験もある平馬監督だが、プロの舞台に立つことはできなかった。プロ入りを果たした2人の教え子を見て「自分ももっとやれたのではないか」と考えることがある。

「岡野、宮川ほど貪欲ではなかった。彼らのほうが『何としてでも』という思いは強いですし、練習もしている。それを見習って今の若い選手たちも取り組んでほしいです。そうすれば、チームがもっと強くなるんじゃないかなと思っています。2人には、後輩たちが憧れを抱く存在になってほしいですね」

 指名漏れを経験し、悔しさをバネに社会人で成長を遂げた2人。プロの舞台でどんな活躍を見せるか、指揮官も心待ちにしている。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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