「野球って人間臭いスポーツ」 ロッテ4年目捕手に響いた高校時代の恩師の言葉

目標は「勝てるキャッチャー」、そのために必要だと考えるものは…

 だが、今季は開幕2軍でもモチベーションを下げずに集中力をキープできた。その理由について「もちろん悔しいです。でも、今年は始まる前に、1年しっかり自分のやるべきことをやろうって決めていたので、いい形でメンタルコントロールに繋がりました」と明かす。周りに気を取られずに、自分ができることに集中しよう。そう考え方が切り替わったのは、今岡真訪2軍監督の存在が大きかった。

「去年から今岡監督が『自分でコントロールできないことは気にしても仕方ない。自分がやるべきことをしっかりしろ』って、常に仰有っているんです。これが結構難しくて……(苦笑)。でも去年、1軍で2試合出させていただいた時、スタメンで使っていただいたのに、僕自身が力が入り過ぎちゃって何もできなかったんです。その時、他人を意識する前に自分はどうなんだ?って思ってから、だいぶ変わりました」

 1つの変化が別の変化を呼び込んだ。5月25日に1軍昇格すると、9月1日に受けた死球で左腕を骨折するまで一度も2軍に戻らず。2軍本拠地の浦和で共に研鑽を積んだ種市篤暉、岩下大輝ら若手投手陣の台頭もあり、34試合でマスクを被った。特に、種市との相性抜群コンビは「柿の種バッテリー」として人気上昇。「種市におんぶに抱っこです……」と照れくさそうに笑うが、井口監督は「キャッチャーらしいキャッチャー。今年一番伸びたんじゃないかな、柿沼が」と高く評価している。

 柿沼が目指すのは、ずばり「勝てるキャッチャー」だ。

「勝てばチームにもピッチャーにも勝ち星がつくし、ファンの方も喜んで下さる。僕もミスしたり打てなかったりしても、勝ったらうれしいし報われた気がする。もちろん、ミスは悔しいし反省もします。でも、勝てば全員がいい思いをするわけじゃないですか」

 ニコニコと笑顔を浮かべる柿沼に、勝てるキャッチャーになるためには何が必要か、と聞くと、「当然、技術的なところは必要ですけど……」と言葉を繋いだ。

「当然、技術的なところは必要ですけど、まずは人間として自分を磨かないといけないのかなと思っています。高校の時の監督が仰有っていたことがあるんです。サッカーやバスケはボールがゴールに入ることで得点になるけど、野球は人間がベースを踏むことで得点になるスポーツだから、人間が重要。だから、まずは人間を磨きなさい、と。ホームランを打っても人間がベースを踏まなかったら得点にはならないじゃないですか。そう考えると、野球って人間臭いスポーツだなって思ったんです」

井口監督は高評価「投手の良さを引き出せるキャッチャー」

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