「野球って人間臭いスポーツ」 ロッテ4年目捕手に響いた高校時代の恩師の言葉
井口監督は高評価「投手の良さを引き出せるキャッチャー」
座右の銘は「人間的成長なくして、技術的進歩なし」という元ヤクルト監督・野村克也氏の名言。自身の人間力を上げることが、選手としてのレベルアップに繋がると考えている。
目標とする選手も側にいる。昨オフ、楽天から移籍してきた細川だ。「ベンチにいるだけで監督やコーチの安心感が伝わってきました。移籍1年目なのに、これまでの実績で信頼感を得ている。逆に僕は実績がなくて代えられてしまっている。1年や2年でできるものではないですが、ああいう選手になれたらいいな、と思います」と、立場を変える意気込みだ。
井口監督は柿沼を「投手の良さを引き出せるキャッチャー」と評するが、自身も「僕はピッチャーあってのキャッチャーだと思うので、ついてこい!というよりは、ピッチャーのやりたいことやいいもの引き出すようにしています」という。普段から「全然ガツガツいかないです、僕」と穏やかに目を細めながら、「逆に田村とか前に出ていく感じで、それはそれで良さがある。いろいろなスタイルがあっていい。僕はピッチャーの良さを引き出したいです」と語った。
2020年の目標は2つある。まずは「最後まで試合に出続けること。勝った時にマウンドでハイタッチしたいです」。そして「やっぱり出場100試合を目指していきたいですね」。チーム内の競争は決して容易くないが、互いを高め合いながら1つでも多くの勝利に貢献する意気込みだ。
今年は打席へ向かう登場曲「翼の折れたエンジェル」と語感が同じ「柿沼友哉エンジェル」というフレーズがロッテファンに浸透した。「柿の種も合わせて、ちょっと話題が先行しちゃって……」とバツが悪そうだが、11月のファン感謝デーではちびっ子ファンから「エンジェル」と声を掛けられたという。「かわいいなって思いますし、うれしいです」。そうニッコリ微笑む柿沼がファンにとって本当のエンジェルとなるのは、2020年、勝てる捕手になってチームを優勝に導く時かもしれない。
(佐藤直子 / Naoko Sato)