鷹・和田毅が今でも第一線で投げられる理由とは… 「自分がやってきたことを信じています」

トレーニングで汗を流すソフトバンク・和田毅【写真:福谷佑介】
トレーニングで汗を流すソフトバンク・和田毅【写真:福谷佑介】

「若い時から10年先を見ながら、トレーニングをするようにしてきた」

 12日に長崎市内で行っている自主トレを公開したソフトバンクの和田毅投手。今季を39歳で迎えるベテラン左腕だが、16歳年下の笠谷俊介投手や渡辺健史投手らと同じメニューを消化した。約150メートルの坂道ダッシュも同じ5本を平然と走り切り、若手に負けない体力を見せていた。

 2003年に早大からダイエー(ソフトバンクの前身)へ入団し、今季がプロ18年目となる。同い年の“松坂世代”の数も徐々に減り、今季の現役選手は西武に復帰した松坂大輔投手ら5人になった。和田自身も左肩の故障に苦しみながら、それを乗り越えて昨季、復活を果たした。

 その和田が自主トレ公開後に語った言葉が印象的だった。

「怪我の中から得られるものがある。長くやるというところでは、若い時から10年先を見ながら、トレーニングをするようにしてきた。その積み重ねでこうしてやれていると思う。自分がやってきたことを信じています」

 長く現役生活を続けられる要因を問われた時だった。若い頃から先を見据えて、ハードな練習に取り組んできた和田。目先だけを考えるのではなく、10年先、15年先の自分にとって何が必要かを意識してトレーニングに励んできたという。積み重ねてきた“貯金”がベテランと呼ばれる年齢になってきた今こそ生きているのだという。

「年を取れば取るほど足りないものは見えてくる。若い時は勢いでやれるけど、今は勢いでやると怪我をしてしまう。いかに準備が大事かは昨年学んだ。今年はさらに準備が大切になる。年齢を重ねれば重ねるほど、大事になるのかなと思います」

 昨季まで苦しめられた左肩痛、そしてそこから復活を果たした2019年の経験から、これまで以上に“準備”の大切さを痛感した。1つ年を重ねて39歳で迎える2020年は、さらにその重要性が高まると覚悟している。

「昨シーズンは投げられることができなければやめないといけないと覚悟はしていた。覚悟の年でもあった。ああいう形で投げられて、今年もプロ野球選手として野球ができる。1つの喜び、昨年にはない新たな喜びが今年はある。かといって、その喜びに浸っていては、アッという間に野球人生は終わってしまうと思うので、もう1度、昨年とは違う自分を見せられればと思います」。1年間を通してローテを守り切ることを目標に掲げる和田毅。長く一線級でプレーし続けられるだけの素養を感じられた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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