帝京前田監督が明かす、甲子園から遠ざかっている理由 「舞台慣れしていない」
春14回夏12回甲子園出場の名将「空間(空白期間)が重くのしかかる」
「空間(甲子園に出場できていない空白期間)がありますから。大きな試合では、それが重くのしかかる」。帝京を率いる70歳の前田三夫監督がうめくように言った。
第92回選抜高校野球大会(3月19日開幕)の出場校が24日に発表され、帝京(東京)は2011年夏以来遠ざかっている甲子園出場を逃した。選考では、昨秋関東大会ベスト8の花咲徳栄(埼玉)と二者択一の展開となったが、競り負けた格好だ。
春14回、夏12回出場、全国制覇3回(春1回、夏2回)を誇る名門で、DeNA・山崎康晃投手、阪神・原口文仁捕手、日本ハム・杉谷拳士内野手ら数多くのプロ野球選手も輩出している帝京だが、なぜこれほど甲子園から遠ざかってしまっているのか。昨秋の東京都大会では決勝に進出し、事実上甲子園までマジック1としたが、国士舘に0-6で完敗。プロ注目の188センチ左腕・田代涼太も打ち込まれた。この試合の内容も落選の一因になった。
「準決勝までの戦いぶりは非常に良かったが、決勝になって選手たちが固くなった」と前田監督。指揮官自身にも「決勝には決勝の緊張感がある。ただ私は、それまでの戦いぶりが良かったので、そのままやらせた。今振り返れば、やっぱりもう1回締め直す必要があったのかな、という気もする」と一抹の悔いが残っている。
「これだけ(最後の甲子園出場から)間があいているので、選手が舞台慣れしていない。だから固さが目立ち、力を出し切れない。チーム力があっても、発揮できにくい。そこにウチと国士舘の差が出た。その辺を選手に問いかける必要がある。技術的、体力的に向上しても、その辺をクリアしないと、夏も東京で勝ち上がるのは難しい」
逆に言えば、技術的には甲子園常連時代ほどではないにせよ、それに近づきつつある。「(全国レベルの)一歩手前でしょうね。ピッチャーをもう少し鍛えて、切れ目のない打線にしないと」と言った後、「ただ、甲子園は選手を育てますからね……そういう意味で楽しみな選手はいました」と、やはり選抜出場に期待をかけていた本音ものぞいた。
選抜の補欠校に選出されたが、既に頭は夏へ向けて切り替えている。「昨秋、選手たちはよくやった。ひとつの壁を破ってくれた。もう少しでした。彼らが(夏へ向けて)飛躍してくれることを願う。これでしぼんでしまう展開にはしたくない。そういう意味で、今日もあくまで今まで通りの練習をやらせます」
久しぶりの甲子園まで「あと一山」が、はた目で見るより険しい。老将が、それを乗り越えさせるという大きな仕事を担う。
(Full-Count編集部)