健大高崎の注目は“幼なじみ”バッテリー エース下「奥川さんに負けないくらい…」

センバツ初優勝を目指す健大高崎【写真:安藤かなみ】
センバツ初優勝を目指す健大高崎【写真:安藤かなみ】

下と捕手戸丸は高崎ボーイズで中学1年からバッテリーを組む

 第92回選抜高等学校野球大会(3月19日開幕)の出場校が24日に決定し、健大高崎(群馬)が3年ぶり4度目の出場を決めた。昨秋関東大会覇者の注目は、左腕・下(しも)慎之助と戸丸秦吾のバッテリーだ。

 センバツ初優勝へ駆け抜けるだけだ。背番号「1」を背負う左のエース・下慎之介は「エースとして、チームを勝たせる」と頂点だけを見据えた。下は手足の長い183センチの体躯から、角度ある最速141キロの直球とスライダー、スプリット、カーブとキレのある変化球を投げ込む本格派だ。明治神宮大会では決勝を除く3試合に登板し、20イニングを自責3にまとめる好投を見せ、初出場ながらチームを準優勝に導いた。

「もともと大人しかったが、関東大会から相手に向かって行く気持ちが出てきた」と青柳博文監督は下が見せた成長に頷いた。群馬大会3位で進んだ関東大会1回戦では常総学院と対戦。先発のマウンドを託された下だったが、持ち味である安定感を欠いて3回4失点で降板し、指揮官からは「気持ちが出なくなっているぞ」と喝を入れられた。下は「中学生のころから声を出して(気持ちで)投げる投手だったけど、成績が出るにつれて慢心が出て。冷静に投げているような雰囲気を出してしまっていた」と苦笑いで当時を振り返る。

 それでも、監督の言葉をきっかけに2回戦の西武台戦からは本来の気迫あふれる投球を取り戻し、チームの関東大会優勝に大きく貢献。「“色気”を出しちゃいましたね」と照れ笑いを見せた下。大物の雰囲気を漂わせる左腕は、初めて立つ甲子園のマウンドにも怖気づくことはない。

 エースの下と、主将で捕手の戸丸秦吾は幼なじみ。2人は高崎ボーイズで中学1年からバッテリーを組み、コンビ結成から6年目を迎える。当時から正捕手として試合に出場していた戸丸と、ベンチ入りギリギリだったという下だが、切磋琢磨を繰り返しついに夢舞台にたどり着いた。

 下は戸丸について「喧嘩とか言い合いもする。でも試合の中では、何も言わなくても『ここは気合を入れるところなんだ』ってわかったり、自分が熱くなっているときは戸丸がタイムをかけてマウンドにきてくれる。阿吽の呼吸というか、そういう感じのものですかね」と大きな信頼を寄せる。昨夏の甲子園では星稜の奥川(ヤクルト)、山瀬(巨人)の幼馴染バッテリーが活躍し、大きな話題を呼んだ。下は「奥川さんと山瀬さんは小学生から。それに比べたら浅い絆かもしれないが、負けないくらい強いバッテリーになりたい」と“奥川超え”を誓っていた。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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