32年ぶり選抜逃した西武台、指揮官が掲げる夏への課題 「自分で考え、判断し、動かないと」
河野監督は選手の深層心理を理解も「選ばれなかったのは、力が足りなかったから」
3月19日に甲子園球場で開幕する第92回選抜高校野球大会への出場が期待された西武台(埼玉)だったが、32年ぶり2度目のひのき舞台に立つ悲願は成就しなかった。西武台は昨秋の埼玉県大会で1996年以来、4度目の決勝進出を果たした。今回の選考委員会から、総枠6校ある「関東・東京」地区代表として6番目に選ばれた花咲徳栄に決勝では3-8と敗れたが、秋季関東大会には23年ぶり4度目の出場を果たし、ベスト8入りしていた。
吉報は届かなかった。出場32校の顔触れが出そろってからおよそ40分後、西武台の全ナインは学校の食堂に集まり、河野創太監督と福喜多繁尊コーチからの励まし、慰め、次への決意表明などに真剣な表情で耳を傾けた。河野監督の大学の後輩で、2018年春から指導する福喜多コーチは「また決勝で花咲徳栄と対戦しよう。そして次は勝とう。今の花咲徳栄を倒せるのはお前たちしかいない」と、この時ばかりは語気を強めた。選抜出場を逃し、虚脱状態にあるナインの士気とモチベーションを復興させようとする気持ちの表れだった。
河野監督も選手の深層心理をよく理解していた。
「選考されず、間違った感情を持っている子もいました。『なんで俺たちが選ばれないのか』という思いが先行したのですね。でもそれは違うと選手に伝えるのも私の仕事のひとつ。何かを達成させたいのなら、実力で勝ち取るしかない。選ばれなかったのは、力が足りなかったから。それだけです」
甲子園の選から漏れ、茫然自失に陥る気持ちは理解できるが、悔しがってばかりいたのでは道は開けない。この悔しさをずっと胸にしまい込み、練習で自分たちの足りない箇所をとことん追求しなさい、ということを指揮官は伝えたかったのだろう。