相手が恐れるパ・リーグ“敬遠王”は誰? 過去10年で見る強打者は

2011年からの2年間における、受賞者のOPSが低い理由は…

 当然のことながら、今回のランキングに入ったのはシーズンの大半をレギュラーとして過ごした選手たちばかり。出場試合数2桁でリーグトップの敬遠四球を記録したのは、わずか354打席で25本塁打を放った2010年の中村のみだ。また、今回のランキングに名を連ねた選手の大半が当該シーズンにOPS.800以上を記録している強打者であり、対戦相手の警戒度もそれだけ強かったと言えそうだ。

 そんな中で、2011年と2012年の2シーズンに敬遠四球がリーグトップだった3選手は、いずれもOPS.700台とやや趣が異なる。その理由としては、この2年間は統一球導入の影響でリーグ全体の打撃成績が落ち込んでいた時期だったことが挙げられる。その特性上、打撃での貢献が最も求められる指名打者部門で、フェルナンデスがOPS.703という数字ながら受賞を果たしていることがその証左でもあるだろう。

 先述の通り、今回取り上げた選手たちの多くはチームの主力に相応しい成績を残した面々だ。そんな中で、2010年の長谷川と2015年の嶋の2人は、OPS.600台ながらリーグ最多の敬遠を受けている。ここからは、両選手の当該シーズンについて掘り下げていくことで、この2名が歩かされた理由について探っていきたい。

 まず、長谷川は前年の2009年に打率.312とブレイクしてレギュラーに定着していたが、続く2010年はやや物足りない成績に。この年は主に7番と8番を任されることが多く、8番だった試合では直後に捕手が据えられることが多かった。同年のソフトバンクの主戦捕手だった田上秀則氏(84試合 打率.203 7本塁打)と、山崎勝己捕手(77試合 打率.210 2本塁打)はともに打撃好調とは言えず。打線の巡り合わせが影響した面はありそうだ。

 一方、2015年の嶋は打率.219、4本塁打と打撃においては苦しんでおり、同年に敬遠数トップタイとなった他の3選手に比べて明らかに異質な数字となっている。しかし、4個の敬遠の内訳を見ていくと、敬遠された理由はそれぞれ理解できるものとなっていた。

本人の調子、周囲の状況……敬遠が増減する理由はさまざま

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