コントロールが悪いからじゃない? 日ハム有原らパ投手の暴投を徹底検証

西武高橋光の暴投も決め球フォークで記録、捕手のブロッキングにも関係?

西武・高橋光成(7暴投)

・3月31日ソフトバンク戦 4回裏2死一塁 1-2からのフォーク(1個目)

 0-0で迎えた4回裏、2死から5番・グラシアルに死球を与えて一塁に走者を背負った。続く内川を3球で追い込むと、バッテリーは4球目にフォークを選択。ボールはわずかに外角へそれたところでバウンドしたものの、ブロッキングが及ばず一塁走者が進塁した。

・4月21日ソフトバンク戦 2回表2死一塁 2-2からのフォーク(3個目)

 上林を2-2と追い込んでからの5球目、決め球にフォークを投じたが、ボールは打者の足元をすり抜けてバックネットまで到達した。この試合では4回表にもフォークで暴投を記録している。

 高橋光の傾向は、最初に紹介した有原と似ている。7暴投のうち4つが打者を追い込んでからのもの、そしてその大半がフォークだった。高橋光の課題も決め球として投じるフォークの制球にあると言えそうだ。

 一方で高橋光の暴投は6月14日を最後に記録されていない。1年を通して投げ抜いたことを踏まえると、課題をクリアして着実にステップを上がっていると考えられる。2020年はさらなる飛躍に期待したいところだ。

日本ハム・上原健太投手(6暴投)

・8月27日西武戦 8回表無死二塁 2-2からのスライダー(5個目)

 2-6と西武に4点のリードを許して迎えた8回表。この回からマウンドに上がった上原は、無死二塁のピンチを背負って秋山(現レッズ)と相対する。2-2と追い込んだが、5球目のスライダーが引っ掛かり、捕手・清水も止めることができず。二塁走者が三塁へ進み、その後の失点につながる痛恨の1球となった。

・8月30日楽天戦 7回裏1死一塁 1-0からのフォーク(6個目)
 
 2-7とリードを許した場面での救援。1死から3番・浅村に安打を許すと、続くブラッシュに対しての2球目、フォークが内角に入り込み、ボールはバックネットへと転がった。

 上原の暴投は、ほとんどが右打者の内角、左打者の外角へ、いわゆる「引っかかる」ボールだった。シーズン序盤には先発、終盤には中継ぎへと役割を変えたが、活躍を狙うポイントとして、この引っかかる投球の改善が1つのカギになりそうだ。

オリックス・榊原翼投手(6暴投)

・5月15日ロッテ戦 1回裏無死二塁 2-2からのフォーク(2個目)

 初回、先頭・荻野の出塁を許し、盗塁でピンチを背負った。続く鈴木(現楽天)を2-2と追い込んでから投じた6球目のフォークは捕手のわずかに手前でバウンドする。ボールは捕手のミットからこぼれ、二塁走者が三塁へ進塁した。

・6月29日西武戦 1回裏無死二塁 1-0からのフォーク(4個目)

 初回から3連打を浴びて2点を失った。無死二塁で迎えた4番・山川に対して2球目に選んだフォークは、捕手のわずかに手前でバウンド。ブロッキングが及ばず暴投となり、走者の進塁を許した。

 榊原の暴投は有原、高橋光と同様にフォークが大半を占めていた。一方で、そのカウントはまちまちで追い込んでからのものは1球のみ、0-1や1-0といった早いカウントからもフォークを投じているのが特徴的だ。

 また、多くの投手の暴投が外角に大きく外れていたり、ベースのはるか手前でバウンドするなど捕球が難しい投球であったのに対し、榊原のものはフォークを正確に止めることができずに暴投となっているケースが多かった。右腕のさらなる進化に向けて、球を受ける捕手のレベルアップも必要になるかもしれない。

 ここまで紹介した6投手に表れているように、一口に「暴投」といってもさまざまなケースが考えられ、それぞれに暴投の特徴があった。投手の力は「三振数」や「防御率」といった数字から測ることが多いと考えられるが、視点を変えて、「暴投」のような普段は話題にならないプレーに目を付けるのも面白い。

(「パ・リーグ インサイト」成田康史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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