ダルビッシュ、大谷翔平に憧れて…巨人サンチェスがMLBでなく日本に求めにきたもの
叔父から学んだ野球技術、祖母から学んだ勉強の大切さ
小さい頃はバッティングも大好きな野球少年だった。セ・リーグでは打席にも立つため、打つ方にも期待ができるかもしれない。
「捕手と一塁以外は全部、守りました。子供のころは大型遊撃手でしたね。バッティングもよかったですけど、叔父から『投球に専念しろ』と言われて……。当時はまだ体の線が細かったけど球は速かった。叔父さんの前ではピッチング練習ばかりやっていたけど、いなくなったら打つ練習もしていました」
一方で祖母からは勉強の大切さを学んだ。学びながらプレーする習慣は祖母の教えも影響していた。
「祖母から『野球は永遠に続くものではない。学業をやっていれば、それは永遠に自分につながる』と言われました。学業でやったことは自分にとって残るものだけど、野球はある日、できなくなる時が来る。その時のための“バックアッププラン”を持っていないとだめだよと言われました」。
野球をやりながら、国立大学のサント・ドミンゴ自治大学に進学し、会計学を学んだ。もちろん、野球が一番だが、広い見識を持って今を生き、将来的には不動産などの投資関係をするつもりだ。「得られたもので若い世代に還元できるようなことをしたいなと思います」と野球少年との未来もしっかりと見据えている。
クレバーなピッチングを見せてくれそうな助っ投は、日本でも学びの姿勢を貫いていくだろう。かつて、背番号20をつけた外国籍の投手たちの中に成功した選手が多くいる。最近ではスコット・マシソン投手がその一人。彼も日本の野球を受け入れて、巨人の指導者や選手に敬意を持って、練習に取り組んだ。そんな姿勢が成功のキャリアを作った。まだ来日して間もないがサンチェスの目に巨人というチームはどのように映っているのか。
「人の考えを尊重してくれる、思いやりのある人たちが多いかなと思います。チーム関係者、コーチ、チームメート、フロントの人、自分のことをよく見てくれていて、すごく自分を必要な存在として注意深く見てくれています。感謝の気持ちを持って、投げていきたいです」
エースの菅野智之投手に次ぐローテの柱として期待されている。新たな環境で成功をつかむため、日本への愛と感謝をボールに込めていく。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)