野村氏の「19」継承した鷹・甲斐、訃報に瞳潤ませる 「見てもらいたかった」

取材に応じたソフトバンク・甲斐拓也【写真:福谷佑介】
取材に応じたソフトバンク・甲斐拓也【写真:福谷佑介】

共に母子家庭で育った甲斐に野村氏は「似ているね」「母ちゃん大事に」

 ソフトバンクの甲斐拓也捕手が11日、南海(現ソフトバンク)などで活躍し、ヤクルト、阪神、楽天で監督を務めた野村克也さんを悼んだ。宮崎キャンプ第3クール初日に訃報が届き、この日の練習後に報道陣に対応。「話を聞いたのはアップ中にマネージャーから聞きました。聞いて本当にビックリしました」とコメントした。

 育成出身の甲斐は高校時代から野村氏の著書を読み漁るなど、捕手としての考え方を学んだ。同じ母子家庭の育ちで、野村氏はテスト入団、甲斐は育成出身とともに這い上がってきた存在。甲斐は「取材でお会いさせていただいて『似ているね』と話していただき、いろいろな話をしたことを覚えています」と語った。

 最後に会ったのは昨年3月、テレビ局のインタビューだった。捕手についての話だけでなく、野村氏は甲斐に「母ちゃんは大事にしなさいよ」と語りかけたという。同じ母子家庭で育ったからこそ、より一層、母親の大切さが身に染みている野村氏ならではの言葉だった。

 今季からは南海時代に野村氏が背負った背番号「19」に番号を変更。これも、野村氏と対談した際に「19」の継承を望まれ、野村氏の番号への思いが芽生えた。「19番を着けてユニホーム姿を直接見てもらいたかった、見せたかったなと思います。話を聞いて見せられないのは寂しいです。19を着けさせてもらうことになったのでこれから頑張っていかないといけない、いい姿を見せられるように頑張りたいと思います」と語る甲斐の瞳は潤んだ。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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