なぜ松中信彦氏は香川のGM兼総監督になったか? NPBへの拘りなし「若い選手を教えたい」
自らバットを振っての実演指導も「自分でロングティーを打って見せました」
――若い選手を教える上での難しさはありますか?
「今の若い子たちはやっぱり、なかなか反復練習っていうか、自分たちが若い時に『何百回振れ』とか、そういう時代じゃないと思います。いかにそういう選手達を育てていけるか。NPBもいいんですけど、プロである程度完成されている選手よりも、荒削りでまだまだこれからが楽しみという選手のほうが、教えがいもある。別に独立リーグだからというのは自分としてはありませんでした」
――選手たちへのアプローチは?
「初めて選手たちに会った時に『プロに行きたいのか、プロで活躍したいのか』という面談もしました。みんなが『プロに行きたいです』と。じゃあプロ行くためにどういう指導法をしないといけないかっていうのをオフに考えていました」
――現役復帰、とも報じられましたが?
「目が追いつかないし、怪我したくないですし、反応も鈍ってるだろうし。ただ、練習はNPBよりも独立リーグの方が時間があるし、一緒に練習はできる。言葉で教えて自分で振ってこうだろうっていうのができる時間があるんで、そういうところはもしかしたら出来るかもしれないですね」
――現役復帰ではなく、練習で実演するイメージ。
「実際に昨年、自分でロングティーを打って見せました。『フェードを打て』とね。みんなのそういう反応がすごく嬉しくて、ちょっと言っただけで、やってみると『オッ』となる。そういう反応が面白いですね。独立リーグの子って、ちゃんとは教えてもらってないから、ヒントを与えるだけで反応してくれる。その表情がすごくいいから、今はもう受けて良かったなと思っています。これを継続してやっていくと、いい選手が育つだろうなって思いますよ」
――指導者1年目の描く目標は?
「1年目ですけど、もちろん優勝です。やっぱりそのお客さんが喜ぶ野球をしたいなと。投手戦もいいんですけど、昔のダイエーホークスみたいにやっぱ打ち勝つ、打って勝てるチームを作りたいなと思います」
――将来的なNPBへの思いはありますか?
「やっぱりNPBで育ててもらったので、最後はそこで勝負がしたいっていうのはあります。ですが、今はまずこの香川でどれぐらい自分ができるか、どれくらい選手を育てられるか、そこに集中してやっていきたい。その積み重ねが指導者としての評価につながってくると思いますし、自分の第2章がスタートしたというところ。それで積み重ねた先に(NPBが)あるかもしれない」
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)