元西武松沼博久氏が語る捕手・野村克也の凄み 「あえてボールを投げてこいと…」
ルーキーイヤーの79年に野村克也氏とバッテリーを組み16勝、新人王に輝いた
西武OBで野球解説者の松沼博久氏が13日、11日に急逝した野村克也氏との思い出を語った。松沼氏は78年オフのドラフト外で東京ガスから西武に入団すると、ルーキーイヤーの79年は野村氏とバッテリーを組んで16勝を挙げ、新人王を獲得していた。
新人時代、フロリダキャンプでの出来事を振り返り「初めて受けてもらったのが野村さんだった。取ってもらえるなんて光栄だった」と振り返った松沼氏。「野村さんが『ナイスボール!』と言ってくれて、『俺のボールは良いボールが行っているのかな』と思えるようになっていった」と懐かしんだ。
ルーキーだった松沼氏にとって、プロで生き抜くための配球を叩き込んだのも野村氏だったという。「そのころは緻密な(配球)とかは全然なかった。僕らは普通、アウトローに投げるとか、インコースに投げるとか、コースは意識する。野村さんは、ボールゾーンまで配球のゾーンに入れるから投げやすかった。『あえてボールになっても、バッターは振る。そこに投げてこい』と言ってくれた」と野村氏が組み立てた綿密な配球もあり、松沼氏は新人ながらいきなり16勝を挙げ、新人王に輝いた当時を回顧した。
松沼氏は「偉大な野球を知り尽くしている人にリードしてもらったことは、僕の財産。それで新人王を獲らせてもらったのだから」と感謝する。野村氏の急逝を受け、「この間のカネやん(金田正一氏)のお別れ会にも出席していたんでしょう。口は達者だし、まだまだ元気だと思っていた。早かったね」と、かつての女房役との別れを惜しんでいた。
(安藤かなみ / Kanami Ando)