少年野球で深刻な捕手の故障 投手に次ぐ負担にも関わらず、指導者の配慮不足も

アメリカでは少年野球の盗塁は禁止、二塁に速い球を投げるために障害を負うケースも

 小中学校の野球で、投手に次いで故障が多いのは捕手だ。投手の陰に隠れて目立たないが、捕手の健康被害も深刻だ。

 捕手は、軟式の少年野球であってもプロテクターやレガースなど重い防具をつけてプレーをする。その重たい装備のままで試合中、何度も立ったり座ったりする。このため腰や膝に負担がかかり、少年であっても腰痛に悩まされることがある。また膝を痛めることもある。捕手になる子供は大柄で体重もある場合が多いので、余計に腰や膝に負荷がかかりやすい。また打撲や捻挫などのアクシデントも多い。

「野球肘健診」では、理学療法士が子供をマットに横にさせて肩、腰、膝の関節部位の動き方や痛みの有無をチェックしているが、捕手をしている子供の場合、腰、膝の故障が見つかるケースが他のポジションより多い。このため、捕手はアップの時に屈伸運動などを念入りに行う必要がある。

 また、捕手は、投手に次いでOCD(離断性骨軟骨炎)など、野球肘に罹患するケースが多い。投手の球を返球しているからだ。投手のように全力投球をすることは少ないが、それでも球数を投げる。また指導者の中には「しっかり返球しろ」と捕手に速い球を投げることを指示する場合もある。こうした負担が積み重なって、捕手の中には野球肘など健康障害を起こす選手が出てくるのだ。投手の球数を気にするようになった指導者は多いが、投手の球を受ける捕手についてまで配慮が行き届かないケースもある。

 さらに、捕手は盗塁阻止のために二塁に送球するが、このときに腕だけで投げることも多い。指導者の中には子供にテークバックのないスナップスローを教えることがある。スナップスローにも正しい投げ方があるが、特に小学生にはマスターするのは難しい。間違った投げ方を教えると、肘を痛める可能性が高くなる。

 アメリカのリトルリーグでは原則として盗塁はできないルールになっているので、捕手が盗塁を刺すために二塁に速い球を投げることはない。しかし日本では、多くの少年野球で盗塁を認めているため、捕手は二塁に送球をする。その練習もするため、肩肘の障害を負うケースが出てくるのだ。

投手捕手兼任の場合、投手、捕手単独の選手よりも肩肘の障害を負う危険性は高い

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