距離を置いたからこそ見えた阪神の姿 藤川球児が優勝にこだわるワケ「責務がある」
離れて見えた阪神の姿「ファンの方たちの気持ちがあって出来上がっている球団」
時代は移り変わっても、野球選手として変わらない思いがある。それが優勝にかける強い思いだ。今年は「もちろん、優勝するしかない。それしかない」と言い切る藤川は、誰よりもファンのために優勝したいと考えている。
「阪神タイガースが持つ伝統だったり、関西に阪神タイガースがあり続けた伝統は、絶対に大事にしないといけない。それは自分たちが決めてきたのではなく、阪神タイガースを応援するファンの方たちの気持ちがあって出来上がっている球団だから。だから、会社のトップが変わったから経営方針が変わりました、ということが許されるような団体ではないんです。
もっと言えば、球団としてファンの声に動かされる前に、自分たちで先に動かなきゃいけない。自分たちが動き出して何か変化をもたらしたり、積極的に大きな声を上げて一つになって取り組めば、ファンはイライラせずに楽について来られるんですよ。方向性を決めたら、そこに真っ直ぐ向かって答えを出す。答えを出す=優勝ですよ。ファンが一番喜ぶ形は優勝。サイン1枚もらうこともうれしいかもしれない。でも、サインをもらった選手が活躍して優勝するのが一番うれしいはず。そこは僕らは本分の野球で答えを出さないといけないし、そのための努力はみんな惜しまない。すごくいい組織に変わってきましたよ」
誕生日を迎えれば40歳になる。チーム最年長投手として、2005年以来のリーグ優勝、1985年以来の日本一に対する「責務がある」と感じているという。
「優勝する。そこは自分の責務がある。大きな責任を感じているけど、それはありがたい責任。40歳になる年を迎えて、人生の目標となるモチベーションをいただいた。年齢に関係なくたくさんの仲間たちと一緒に、しかも会ったことのないファンの思いも汲みながらできるのは幸せなこと。阪神タイガースには、自分の人生を輝かせてくれた恩がありますからね」
自然体で真っ直ぐ野球と向き合うこと。それこそが、藤川が見つけた、答えを出すための最善策なのかもしれない。
(佐藤直子 / Naoko Sato)