中日育成の「名大くん」が歩む支配下への道 異色経歴左腕の“目標達成メソッド”
松田は小・中学校時代は軟式野球、高校はバレー部に所属していた
黒縁メガネの奥にある瞳には、新人らしからぬ落ち着きが宿っている。国立大の名古屋大から育成1位で中日に入団した松田亘哲投手は、報道陣に対しても相手の目をしっかり見ながら挨拶する。沖縄・読谷球場で1か月過ごした初めての春季キャンプ。将来性を買われてプロの世界に飛び込んだ左腕は、どう未来を描こうとしているのか――。
スタンドでキャンプを見学するファンたちが「あの選手、名大くんだね」と言っている声が、耳に届く。
「そういう愛称みたいなものがあることで、育成なのにある程度注目していただいているのはポジティブな面です。ただ、あまり色眼鏡を通して見られるのは好きではないので、ネガティブな面もありますかね」。そう松田は淡々と言って、現状を客観視する。
確かに、経歴は目を引く。小・中学校時代は軟式野球に励んでいたが、愛知・江南高校ではバレー部に所属。守備専門のリベロとしてプレーした。硬式野球を始めたのは、大学に進学してから。名大ではかつて、152キロ右腕として注目された七原優介氏(トヨタで現役引退)もいたが、松田が同大初のプロ選手に。“異色”や“快挙”なんて言葉がついてまわる。