データで検証 「負担の大きいポジションを守ると打撃成績が低下する」は本当か?

遊撃と遊撃以外のポジションでの打撃成績は?

 さきほどのサンプル不足という問題を解消するため、遊撃とそれ以外のポジションを守った選手の打撃成績を、あるシーズンに限定せず、また特定のポジションに限定せず比較してみたいと思います。ここでは2014~19年の間に遊撃手と遊撃手以外のポジションでの打席の合計がそれぞれ50打席以上ある打者48選手を対象に、ポジション間でのOPSを比較しました。

遊撃手とそれ以外のポジション間でのOPS比較【画像:DELTA】
遊撃手とそれ以外のポジション間でのOPS比較【画像:DELTA】

 イラスト内のグラフは、右に行くほど遊撃を守っているときのOPSが高いことを、上に行くほど別のポジションでのOPSが高いことを表します。図中の破線よりもプロットが上側にあれば、遊撃手のときよりも遊撃以外を守っているときの成績が良いということです。

 プロットの位置に注目すると、破線の上側ばかりに集まることはなく、破線をまたいで上下に散らばっています。つまり、この条件の選手については遊撃を守っていることで一貫して打撃成績が下がってはいなかったようです。例を挙げると、鈴木大地は遊撃でOPS.716、それ以外でOPS.814と遊撃以外のポジションで好結果、北條史也は遊撃でOPS.736、それ以外で.615と低下しており、様々です。

 とはいえ50打席では打撃成績が安定しないため参考にならないという指摘もあるかと思います。そこで両方のポジションで300打席以上ある選手でも絞ってみました。それがグラフ内に赤く示したものです。やはりプロットは変わらず上下に散らばっています。遊撃を守る負担が打撃成績にまったく影響を与えないとは言い切れませんが、少なくとも下がると断定できるような結果ではありません。

しゃがむ・立つなどの負担が大きい捕手ではどうか

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