ダルビッシュがSNSで“擁護”し話題に…中日・祖父江が鋭い眼光で見据える「チームV」
オフには契約交渉でチーム1人目となる保留者となり話題となった
トレードマークのような、眼光の鋭さ。中日2軍がキャンプを行う沖縄・読谷球場で、祖父江大輔投手が黙々と投げ込み、シーズン開幕に備えていた。オフの契約交渉ではダウン提示を受け、米大リーグ・カブスのダルビッシュ有投手がSNSで反応してネット上で話題に。ただ、祖父江自身はどこ吹く風で、「チームの優勝しか考えてない」と言い切る。
入団した2014年から毎年30試合以上登板してきた祖父江は、昨季44試合で3勝4敗1セーブ3ホールド、防御率3.11。5月初旬から1か月ほど2軍生活も味わったが、ブルペンの一員としてチームを支えた。そして昨年11月の契約交渉の場で減額提示を受け、チーム1人目の保留者に。その報道に、敏感に反応したのがダルビッシュだった。
「推定やから細かくはわからんけど6年263試合で防護率3・08で2900万て。。評価基準を知りたい」などと、祖父江の通算成績にも触れてツイッターに投稿。瞬く間に拡散し、議論を呼んだ。結局、のちに祖父江の推定年俸は2900万円ではなく3500万円だったという報道が出たが、2度目の交渉でサインした金額も100万円ダウンだった。
あれから3か月。祖父江はあっけらかんとして言う。「全然、モメてないんですけどね」。1回目の交渉では話し込む時間がなかったといい、やむなく保留したのだとか。思わぬ盛り上がり方をしたことに、自身も苦笑いしきり。ダルビッシュとも面識がないといい、今となっては「そんなこともありましたね~」と頭の片隅にもないくらいだ。
いま、その鋭い視線に映っているのは、リリーフでのフル回転のみ。自身の活躍や年俸アップより「チームが優勝できればいい。それが1番だし、それで十分ですよ」。入団してからチームはずっとBクラスなだけに、まだ見たことのない歓喜の景色を望みたい。そのためには、もちろん勝利の方程式を担うのが1番だが、たとえ“便利屋”だったとしても意気に感じてマウンドに上がる。
大学、社会人を経てプロ入りした右腕は、今年で33歳を迎える。若手が汗を流す読谷球場で、不敵に笑う。「(調整は)例年通りですよ」。開幕1軍からチームの歯車となり、今秋には有無も言わせない立場になってみせる。
(小西亮 / Ryo Konishi)