打球音、ミットの響き…無観客試合だから届けたい中継からの“球音”

キャッチャーミットに球が収まる音は心地よいが…

 前述したが、キャッチャーミットにボールが収まる心地よい音も、視聴者が楽しめるポイントでもある。捕手経験者の野口氏はその音についても、ファンに知っておいてほしいことがあるという。

「捕手をやっていた立場から言わせていただくと、正直なところ、試合に入れば音ばかりに気を使えません。その状況の中で、いい音を鳴らすことができる捕手はそういう技術が高い選手になるとは思います。ただ、捕手の技術というのはそればかりではありません。例えば、フレーミングの話が最近よく出てきますが、わざとミットの芯を外して、捕球することもあります。音が出ていないから、下手な捕手ではないことをちょっと言っておきたいなと思います」

 選手、コーチに続いて、今度は解説者として無観客試合を経験することになる。「これでコンプリートです」と冗談交じりに語る野口氏だが、解説席に座る気持ちは普段とさほど変わらないという。

「目の前で起こったことを話をするのが仕事なので。ただ、中継を見る方は、断然、増えるのかなと思います。最近の無観客試合の中継を私も見ていますが、選手たちは少し、普段と様子が違うので集中がしにくいのかなと感じます」

 野口氏自身は「どちらかと言うと入り込むタイプだった」ため、一度、集中してしまえば、プレーに専念できたという。だが、選手によっては打席が淡白になっている場面が見受けられるなど、この事態に戸惑いを見せている選手もいるはずと指摘する。

 ただ、選手や観客、球場スタッフらの感染拡大を防ぐためには仕方のない対策だ。来場予定だったファンに一人でも中継を楽しんでもらうために、いつもとは少し違う心構えで解説を届ける。

「選手は当たり前のように感じていた声援に感謝をしながらプレーすると思います。なので、ひたむきな姿も見てもらえたらなと思います。その中で開幕に向けたアピールもしていくので、解説する側の人間としては、前向きなことをたくさん、喋れるような試合になることを期待したいですね」

 一日でも早い事態の終息を願いながら、中継で見るオープン戦。“球音”はまた違った野球の楽しみ方を教えてくれるかもしれない。

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(Full-Count編集部)

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