西武の開幕投手ニールが明かした意外な“開幕延期”の弊害「情報を取られてしまう」
「全てを見せていいのか、打たれて失点してもいいのか」
■西武 1-0 ヤクルト(オープン戦・14日・メットライフ)
西武の開幕投手を務めることが決まっているザック・ニール投手が14日のヤクルトとのオープン戦(メットライフ)に先発。気温2度、試合開始頃からメットライフドームの外に雪が降り始め、その冷気が無観客の球場内に流れ込む酷なコンディションの中、3回4安打4奪三振無失点の快投を演じた。
「非常に寒い中で投げた割には、いい投球ができた。いつも通りゴロを打たせ、ヒットも単打だけだったからね」と満足げで、新型コロナウイルスの感染拡大による開幕延期についても、「米国の実家にいる愛犬(ゴールデンドゥードル、名前はバーディー)が感染しないか心配だったが、コロナは犬に感染しないと聞いて安心したよ」と“アメリカンジョーク”を放ったが、それでもやはり不安は隠せない。
来日1年目の昨季、11連勝を含む12勝1敗、防御率2.87と大活躍した右腕がオープニング・ピッチャーを務めること自体はまず動かないが、「開幕が延期されることで1番難しくなるのは、練習試合で同じパ・リーグのチームとずっと対戦すること。お互いに情報を取られてしまうから」と明かした。
20日に予定されていた公式戦開幕は、少なくとも4月10日以降に延期されることが決まり、具体的なメドは立っていないが、日本野球機構(NPB)の斉藤惇コミッショナーは「いつでも開幕できる準備をしていただくために、(20日以降は)当初組まれた対戦カードのまま練習試合をしてもらう」との方針を示した。となれば、開幕直前まで同一リーグのチームとの対戦が続くことになるのだ。
「バランスが難しいよね。シーズンでも対戦するチームに全てを見せていいのかという気持ちもあるし、一方で、隠しながらやって打たれて失点するのがいいのかという疑問もある」と頭を悩ませている。同一リーグのチームには極力手の内を明かしたくないが、かといってメッタ打ちされて苦手意識が芽生えるのもよろしくない。特にニールに対しては、昨季コテンパンにやられた相手球団が徹底マークして研究を重ねてくるのは間違いないだけに、開幕前の対戦が増えるのはなおさら不安材料だ。
「20日に合わせて両親や友人たちが来日する予定だったが、キャンセルになった。残念だが、みんなが健康でいることが1番大事だからね」と語ったエースの、悩める日々が続く。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)