イチローは史上最高の「安打製造機」 引退から1年―改めて振り返る偉業の数々
2004年にシーズン新記録の262安打、年間200安打以上はローズと並びトップタイの10回
21世紀最初の10年、イチローはMLBで最も活躍した打者の一人だった。「安打製造機」イチローの凄さにさらに迫ってみよう。
○MLBシーズン安打数5傑
1 イチロー 262安打/2004年
2 G・シスラー 257安打/1920年
3 L・オドール 254安打/1929年
3 B・テリー 254安打/1930年
5 A・シモンズ 253安打/1925年
イチローといえばこの記録。2004年にジョージ・シスラーの記録を84年ぶりに更新した。シスラーはイチローが誕生した1973年に死去している。まさに生まれ変わりだ。2位から5位までの記録は1930年代までに達成された。21世紀以降で次の記録はイチローが2001年、ルーキーイヤーに記録した242安打。イチロー以外ではホセ・アルトゥーベが2014年に記録した225安打だ。
○200安打の回数5傑
1 P・ローズ 10回
1 イチロー 10回
3 T・カッブ 9回
4 W・キーラー 8回
4 P・ウェイナー 8回
4 L・ゲーリッグ 8回
4 D・ジーター 8回
MLBで200安打はこれまで536回記録されているが、イチローの10回はMLB最多安打のピート・ローズと並び最多タイ。3位には通算安打2位のタイ・カッブがつけている。イチローがすごいのは、200安打をデビューの2001年から2010年まで10年連続で記録したことだ。これに次ぐのは1894年から1901年まで8年連続で記録したウィリー・キーラー。21世紀以降では1983年から7年連続で記録したウェード・ボッグスだ。
2001年春、イチローのデビューを前にアメリカの解説者たちは、このNPB最高の打者に対して「ケニー・ロフトン(通算2428安打、打率.299)くらいの成績は残すのか? ジョニー・デーモン(2769安打、打率.284)くらいか」「そこまではいかないだろう」と議論していた。
ロフトンもデーモンも一流のリードオフマンだが、イチローは19年間で3089安打、打率.311をマーク。識者の予想をはるかに上回る活躍をした。史上最高の「安打製造機」、イチローがいない喪失感、「イチロー・ロス」は、今年あたりじわじわと野球ファンに染みてくるのかもしれない。
(広尾晃 / Koh Hiroo)