OP戦の不振はシーズンに心配無用? 打率1割→シーズンMVPなどパ過去5年で起きた“復活例”

直近5年間において、複数回オープン戦の不振から立ち直った選手も3名存在

 柳田、浅村、山川の3名は、直近5年の間だけでも複数回オープン戦で苦しむケースを経験していた。だが、それぞれシーズンに入ってからはきっちりと修正を済ませ、レギュラーの座に相応しい成績を残している。3名ともに現在のパ・リーグを代表する強打者として名をはせる選手たちなだけに、修正の術や引き出しも持ち合わせているということだろうか。

 2016年には中島しか該当する選手がいなかったように、年によって数の上下が見られたのは確かだ。だが、オープン戦での不振をシーズンに入ってから払拭した選手は5年間で27名も存在していた。この事実は、今年のオープン戦で苦しんだ選手たちにとっても、頼もしいデータの一つと言えるかもしれない。

 また、オープン戦の不振からレギュラーシーズンで立ち直った選手の中には、打率と比較して出塁率が高いこともひとつのジンクスといえるか。今年のオープン戦で打率.250以下に終わった選手の中で打率と出塁率に.100以上の差があったパ・リーグの選手は、以下の4名だ。

中村奨吾 打率.179 出塁率.324
辰己涼介 打率.200 出塁率.304
近藤健介 打率.229 出塁率.413
外崎修汰 打率.240 出塁率.367

 2017年のロペスのように、打率と出塁率にほぼ差がなかったものの、レギュラーシーズンでは活躍を見せたケースも少なからず存在するが、高い出塁率はボールの見極めができていることの証明でもある。そういった意味でも、先述した選手たちの中からレギュラーシーズンで復活を見せる選手が出てくる可能性は十分にあるだろう。

 また、今回取り上げた選手たちの中から、同年にタイトルを獲得したパ・リーグの選手に加え、打率.400を超えるバッティングを見せていた近藤を加えた面々の、それぞれ4月と5月が終了した時点での打率と出塁率にも、一種のジンクスが示されている。

柳田悠岐(2015年)
4月:打率.350 出塁率.431
5月:打率.357 出塁率.445

柳田悠岐(2017年)
4月:打率.278 出塁率.476
5月:打率.294 出塁率.418

西川遥輝(2017年)
4月:打率.247 出塁率.308
5月:打率.278 出塁率.352

近藤健介(2017年)
4月:打率.416 出塁率.558
5月:打率.407 出塁率.564

山川穂高(2018年)
4月:打率.337 出塁率.481
5月:打率.278 出塁率.428

 柳田が2015年と2017年でそれぞれ違った傾向を示している点も興味深いが、概ねどの選手も出塁率が高くなっているのがわかる。オープン戦での不振を序盤戦でも引きずっていた2017年の西川も、出塁率の面では5月末の時点で.352と一定以上の数字を記録。打率に加えて出塁率にも目を向けてみると、その選手がオープン戦の不振から脱却できる可能性についても、早い段階で予想が立てられるかもしれない。

 もちろん、オープン戦での不振を引きずったまま苦しいシーズンを送ってしまった選手たちも存在するが、これまで紹介してきた通り、オープン戦の成績とレギュラーシーズンの成績が大きく異なるものとなった例は決して少なくない。今年苦しんだ選手たちの中から、シーズンで大活躍を見せてくれる選手が一人でも多く現れることに期待したい。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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