“平成の大エース”斎藤氏が確信する菅野智之の復活 「責任を受け入れる力がある」

菅野が持つエースの資質とは…「プレッシャーや責任を受け入れる力がある」

 昨季は腰を痛めて思うような活躍ができなかった菅野だが、斎藤氏は「今年に掛ける思いは強い」と予測する。その理由とは、昨季のリーグ優勝にあるという。

「多分、菅野にとって去年の優勝はめちゃくちゃ面白くなかったと思いますよ。エースとして、やっぱり自分が活躍して優勝できるのが一番いいわけだから。ただ、腰やコンディションが悪ければ、いくら菅野でも無理です。野球はそんなに甘くない。とは言っても11勝してますよ。それでも、菅野の中では自分が働かないで優勝したというのは非常に……まぁ、僕だったら嫌ですね。自分がいなくても大丈夫ってことになるから。だからこそ、菅野が今年に掛ける思いは強いと思いますね」

 巨人のエースとしての責任感もまた、菅野を駆り立てる理由の1つかもしれない。現役時代に2年連続20勝、沢村賞3度を達成し、“平成の大エース”と呼ばれた斎藤氏は、“巨人のエース”という看板の重さについてこう語る。

「かなり重いでしょうね。でも、僕の時は槙原(寛己)さんと桑田(真澄)と3人いたから、1人にかかる重さは減ったけど(笑)。でも、上原(浩治)にしても菅野にしても、1人エースは大変ですよ。菅野は去年悪くても11勝したけれど、年間を通して働けなかった、投球回数(136回1/3)が多くなかったのは屈辱だったと思います。だから、そういう意味でも『今年は』という思いは強いはず。ああやってフォームを変えたのも、いろいろ勉強をしてのことでしょうし、その辺は大変だと思います。

 でも、彼はそういうプレッシャーや責任を受け入れる力がある。自分で考える力があるし、自主トレにも若手を率先して連れていく行動力もあるし、そういうものは染みついている感じはありますね。『原家』の遺伝子かな(笑)。どこに行っても主役になる環境で育っているから、彼はできると思います。僕は先輩(槙原氏)と後輩(桑田氏)の間で、次男坊的なポジションだったので思い詰めることもなかった(笑)。でも、菅野は1人エースでも重荷と感じずに、自分でちゃんと消化できると思いますね」

 菅野は期待に応えられる選手だと思うか、と問われると、満面の笑みを浮かべながら「もちろん!」と答えた斎藤氏。“平成の大エース”は“現エース”が奮闘する姿を温かく見守っている。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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