元西武GG佐藤氏、今だから明かす北京五輪悪夢の3失策「韓国に気持ちで負けていた」

現在は父が社長を務める会社「株式会社トラバース」で働く

──11年限りで西武から戦力外通告を受けた後、イタリアリーグのボローニャ、ロッテなどでプレーし、14年限りで現役引退。悔いはなかったか

「はい、やりきりました。完全に」

──父親が社長を務め測量、調査、地盤改良工事、不動産などを扱う「株式会社トラバース」に入社した。

「野球人生を全うできたのは父のお陰なので、何か恩返しをしたいと思った。そこで、父が大事にしている会社を守りたいと考えて、アポ取って、『入らせてください』って頭を下げました」

──現在の仕事の内容、やりがいは

「入社6年目、早いですね。千葉営業所長として、80人の部下の管理、営業支援。自分でも営業をしたり、地盤改良工事の現場に行ったりします。やりがいは、ビルや一戸建て住宅を扱っているので、お客様にとって一世一代のデカい買い物に携われることですね。最近は水害や地震も多い中、住む方に安心して住んでもらえたらうれしい。専門家として、しっかり説明して、安心して土地を買って安心して建ててもらえるお手伝いをしていきたいです」

──宅建士、保育士の免許も取得した

「宅建士は、(元西武監督の)伊原春樹さんも取得されていると聞きましたが、保育士を持っている元プロ野球選手は、他にいないんじゃないかなぁ。会社に空きスペースあるので、将来そこに保育園を誘致できないかと考えています。周りが住宅地なので、子供たちを預かる。それに『元プロ野球選手の保育士による運動教室』っていうのも、子供向けにやってみたい」

──現役引退後のセカンドキャリアに悩む野球選手が多い中、佐藤さんは生き生きとしている

「いいえ、会社を守りたいという気持ちは本当ですが、いまだに野球をやっていた時ほど、熱くなれるものがないのが正直なところです。プロ野球選手のときは、活躍したいとか、ホームランバッターになりたいとか、夢や目標が明確でしたから。勝敗がわかりやすいし、全て数字に出ますからね。かといって立ち止まっているのは嫌なので、宅建とか保育士とか、気になるものに手を出しながら、熱くなれるものが見つからないか、もっとやれることがあるんじゃないかと模索しています。人生の半分以上野球をやってきて、それが急になくなって不安にもなりました。そういう時には、目の前のできることをコツコツ積み上げるしかないんですよね。そもそも働くって、そういういうことなのかもしれないですけど」

──佐藤さんにとってオリンピックとは?

「それ、『逆境を乗り越える方法は?』と並んで、講演などで聞かれる“2大質問”です(笑)。結構考えるんですが、なかなか答えが出ない。野村監督が亡くなられて、いろいろ言われたことを振り返って、『人格形成』という言葉に思い当たりました。野村監督は『野球人たる前に、社会人として、1人の人間として成長なくして野球はうまくならない』とおっしゃっていました。『人格形成に終わりはなく、死ぬまで勉強。永遠に成長していかないといけない』と。で、日本のプロに入る前にアメリカに行ったのも、イタリアに行ったのも、そしてオリンピックという舞台も、人格形成のための経験の1つじゃないかと思えてきました。

 失敗してつらかったですけど、失敗したからこそ、失敗した人間の気持ちがわかるようになった。星野監督が失敗した人間をすぐに使ってくれた“男気”にも気付けた。あそこで成功していたら、天狗になっていたかもしれない。いま部下がたくさんできて、経験が生きている部分もあります。人格形成の1ページとしては、北京五輪があってよかったんじゃないかと思うようになりました。野村監督が亡くなられて、考えて、最近出た答えです」

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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