“苦難”も“チャンス”に… 昨春準Vの“公立の雄”習志野が進む夏への挑戦
各校の判断で練習を再開する私立、一方で公立は…
昨年のセンバツで準優勝を果たした習志野は、その後も夏、秋と群雄割拠の千葉で3連覇中。関東大会の結果から2年連続での代表校こそ叶わなかったが、間違いなく今、千葉の高校野球を牽引している一校だ。
他の強豪とは異なり、公立校でありながら目覚ましい活躍を続ける習志野だが、それだけに今回の新型コロナの影響も大きい。都道府県ごとに休校や部活動の自粛要請が相次ぐなか、一部の私立校は3か月後に迫った夏の大会に向けすでに練習を再開している。一方で公立校は地域ごとに足並みを揃えなければならず、部活動はおろか学校再開も県の決定に従うことが大前提。習志野の場合は都心との距離も近く、日に日に状況が変わるなかでまったくと言っていいほど先の見通しが立てられずにいる。
6日に行われたセンバツ準優勝旗の返還式で、角田勇斗主将(3年)は「今はこのような状況で個人で練習するしかない。やはりチームで練習ができないので、チーム作りの面では他の私立と比べて劣ってると思う」と率直な思いを吐露した。
学校関係者は「私学さんと違って、公立はうちだけ勝手に練習をやるというわけにはいかない。県の要請した休校期間が過ぎてようやく練習再開という矢先に自粛が延長となったり、日々刻々と変わる状況のなか、先のことが何もわからないのが現状です。新入生も何人入部するのか、まだ顔合わせすらできていません」と公立校ゆえの事情を明かす。
それでも、こんなときだからこそ個々が成長できるチャンスと小林監督は訴える。現在は各自が自宅で自主練習に取り組んでいるが「今まであまり意識してなかった子たちも、普通に野球ができていたことが特別なことだと気づいたり、周囲の協力に感謝する機会になったと思う。そういう外に向かうものとは別に、中に向かうもの、自発的、自主的にやることのいいきっかけになればいいねと話した。子どもたちにとっては決していい状況ではないが、逆に何かいい影響のきっかけにしてほしい」と逆境をはねのける選手の成長に期待する。
選手層のみならず、練習時間でも私立に後れをとる厳しい状況が続くなか、今何ができるのか。“公立の雄”習志野も試練のときを迎えている。
(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)