OB藪恵壹氏が“課題”の阪神打線を分析 糸井と福留は「併用」、カギは「大山と高山」
1軍と2軍の守備の差は「5厘」の差、「この5厘の差って意外と大きい」
もう1つ、昨季の阪神がリーグ3位だった原因がある。それが12球団最多となる102失策だ。2017年、2018年は失策が3桁に達したチームはなく、2016年の西武(101失策)以来の不名誉な数字だった。守備の重要性について、藪氏はこう話す。
「1点差の試合でエラーが出たら、絶対に失点に繋がってくる。守備という点で、1軍と2軍の違いは『5厘』にあると思います。例えば、2軍の選手は守備率.980までいくんだけど、1軍では.985までいく。この5厘の差って意外と大きいんですよ。打球を1000本捕ったら5本違うわけだから。5つのアウトは大きい。
ピッチャーとしては、安打性の当たりが抜けてもいいんです。それは仕方がない。捕ってくれたらラッキーと思うだけ。でも、打ち取った打球をエラーしたり、ゲッツーが取れないとなると、そこから尾を引きますよね。本当は終わっているのに、まだランナーが残っているとなれば、ピッチングが変わってきますよ」
なぜ阪神にはエラーが多いのか。藪氏は「緊張感と集中力かな」と苦笑いするが、試合前のシートノックに他球団との差を見る時があるという。
「試合前のノックを見ていると、広島は野手が捕れるか捕れないかギリギリのところに打って、守備を抜こうというノックを打っているんですよ。でも、阪神は捕らせようというノック。もう少し練習から緊張感を上げて、少し難しいハーフバウンドのノックを打つとかした方が、いいと思いますね。コーチも頑張らないと」
今季、阪神がテーマとすべきことを聞かれると、改めて「世代交代ですよ」と断言した藪氏。「福留、糸井、能見(篤史)、藤川(球児)に頼っていては世代交代が進まない。野手では大山と高山、投手では浜地(真澄)、才木(浩人)、望月(惇志)が軸になったら面白い」。勝利を求める一方で、次世代の中心となる選手を育成できるか。今年の阪神は、そんな点にも注目すると面白いかもしれない。
(佐藤直子 / Naoko Sato)