「長打率」と本塁打数の相関関係は? 鷹柳田はキング未経験も18年まで4年連続1位
歴代選手では通算868本塁打の王貞治が断トツの数字を残す
最後に、歴代選手の長打率ランキングも紹介していきたい。その内容は以下の通りだ(4000打数以上の選手を参照)。
1位:王貞治氏
長打率.634 2831試合 868本塁打
2位:アレックス・カブレラ氏
長打率.592 1239試合 357本塁打
3位:松井秀喜氏
長打率.582 1268試合 332本塁打
4位:落合博満氏
長打率.564 2236試合 510本塁打
5位:タフィー・ローズ氏
長打率.559 1674試合 464本塁打
6位:ブーマー・ウェルズ氏
長打率.555 1148試合 277本塁打
7位:中西太氏
長打率.553 1388試合 244本塁打
8位:レロン・リー氏
長打率.5419 1315試合 283本塁打
9位:山本浩二氏
長打率.5416 2284試合 536本塁打
10位:小笠原道大氏
長打率.5399 1992試合 378本塁打
通算本塁打数の世界記録保持者の王氏が、長打率においても堂々のトップとなった。ただ、積み上げるタイプの記録ではなく、成績によって上下する記録であるため、ある程度選手として成熟してから来日するケースが多い外国籍選手がやや多くなっている。いずれもNPB史上にその名を残す優良助っ人たちであり、ホームラン数や打点に加えて塁打も稼ぐという、外国籍選手に求められる役割を十二分に果たしていた。
また、塁打の通算記録には昭和時代の大打者たちが多く名を連ねていたのに対して、長打率の場合はカブレラ氏、松井氏、ローズ氏、小笠原氏と、1990年代から2010年代にかけて大きな活躍を見せた、比較的近年の選手が上位に顔を出しているのも特徴だ。このあたりにも、通算の数字ではなく、キャリアの平均値を求めるという長打率の計算方法が影響している部分はあるだろう。
また、現役トップの長打率を記録している中村は2019年終了時点で長打率.530と歴代の大打者たちに決して引けを取らない数字を残しており、実際に通算ランキングでも18位につけている。2000年以降にデビューした日本人選手としては図抜けた数字であり、その傑出度があらためてうかがい知れるところだ。
以上のように、本塁打王が同年の長打率ランキングでトップに立てたケースは決して多いとは言えなかった。しかし、そのシーズンの本塁打王を獲得した選手が長打率でも1位を獲得したケースは3度、同2位は4度と、リーグ最上位クラスの数字を記録していたケースも多かった。パワー自慢の助っ人や和製大砲がトップ5に入っていた年も多く、そのままリーグトップとはいかずとも、一定の数字を記録できていたのは確かと言える。
とはいえ、通算成績の面でも現役選手の部門では、強打者よりも安定してアベレージを稼げる選手たちが上位にくる傾向が強かった。しかし、圧倒的な数字でそのランキングのトップに立ったのは中村であり、通算成績では球史にその名を残す長距離砲たちが顔を並べていた。一発長打よりも塁打を安定して稼げる選手のほうが有利なのは間違いないが、歴代最高クラスの数字となると本塁打数も求められるようだ。
冒頭でも述べたように、「長打率」が持つ指標としての価値は決して小さくない。それに加えて、これまで述べてきたように、その傾向についても一筋縄ではいかない奥深さを持っている。2020年シーズン以降も、この数字を追ってみる価値は十二分にあるのではないだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)