“解散”は突然に― 甲子園V経験のある名門校の決断、球児と指揮官の約束

新型コロナウイルスの影響で活動停止となり選手のいないグラウンド【写真提供:報徳学園野球部】
新型コロナウイルスの影響で活動停止となり選手のいないグラウンド【写真提供:報徳学園野球部】

チームの活動停止前に生徒たちに投げかけた言葉「野球ができるようになったら爆発させよう」

「一番怖いのは気持ちが切れること。誰しもが『甲子園に行きたい』と思って日々の練習を頑張っている。2年生は次があるけど3年生はそうじゃない。でも、こんな時こそ全員で気持ちを一つにして、野球ができるようになった時にそれを爆発させよう。自分たちだけじゃない、日本中のみんながそうなんだと」

 生徒たちには自宅で可能なトレーニングメニューを送っているが、約1か月間の“待機”は球児たちにとっては厳しいものになりそうだ。大角監督は「本来なら実戦をこなして、夏に向けた体力もつける時期。でも、全員が同じ条件。考え方によってはピンチはチャンスと捉えて。個々がどれだけ意識を高く持てるかだと思います」と語る。

「辛抱して日本一へ」

 そんな中、大角監督は自宅に帰る生徒たちに向け1枚の色紙を送った。モチベーションが下がった時にこの言葉を見て、何とか踏ん張って欲しい――。指揮官も自宅に色紙を持ち帰り、生徒と共にこの期間を踏ん張るつもりだ。

「プロ野球を含めて全てのスポーツ界が今、辛抱する時だと思います。今まで経験したことのない大きな壁を乗り越えて、何とかもう一度、真剣勝負の舞台に立たせてあげたい」

 全国の球児たちが再びグラウンドに立てる日々を――。試練を乗り越えた先には“夢舞台”が待っているはずだ。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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