現役最多はホークス松田宣! 球場の広さ、俊足、長打…「三塁打」が生まれる理由

三塁打の数は、そのリーグの特色を示すものにもなりうる

 大きな当たりが本塁打にならずにグラウンド内にとどまれば、そのぶん二塁打や三塁打の数が増えることにもつながる。すなわち、俊足や好打を武器とする選手たちにとっては、より三塁打を生み出しやすい環境であると言えるだろう。セ・リーグの中でも本塁打が出にくい甲子園を本拠地とする阪神で活躍した鳥谷、ならびにナゴヤドーム(中日)と甲子園(阪神)で活躍した福留が、それぞれ多くの三塁打を記録しているのも示唆的だ。

 マツダスタジアムの完成や、2008年に両翼を91メートルから97.5メートルに広げた神宮球場のリニューアル工事に加え、本塁打が出にくい球場として知られたPayPayドームとZOZOマリンスタジアムにテラスが設置されたことも重なり、近年は徐々にその差は埋まりつつある。だが、同じく本塁打が出やすいとされる東京ドームの存在もあり、まだ両リーグ間の差が完全に埋まったとは言い切れないところだ。

 また、通算30盗塁の鈴木大地選手や通算61盗塁の角中勝也選手のように、抜群の俊足は持ち合わせていなくとも、外野の間を抜く打球の多さによって現役の三塁打ランキングのトップ10に入った選手にも、球場の傾向による好影響はあったかもしれない。鈴木は2013年に3試合連続三塁打というパ・リーグ最多タイの数字を記録しており、角中ともども、その三塁打の多さは高い打撃技術と塁上での判断力の高さの賜物と言えるか。

 以上のように、現役選手の中では、坂口を合わせれば上位10選手中6名が、パ・リーグで長く活躍した選手という結果となった。また、1シーズンでの記録では、ランキング上位の大半が当時パ・リーグに在籍した選手に。その一方で、通算の盗塁数に目を向けると、現役、歴代ともに極端にパ・リーグの選手が多いというわけではない。やはり、三塁打を稼ぐことに関しては、パ・リーグが持つ特性が有利に働いていると言えるだろうか。

 球場の大きさの差も含めて、リーグの特色を示している面もある三塁打のランキング。三塁打自体が滅多に生まれるものではないだけに、打者走者が三塁まで到達すると、往々にしてスタジアムも沸き立つものだ。そんな三塁打を2020年に多く記録するのは誰になるのか、そして現役最多の三塁打を記録している松田宣はさらにその数字を伸ばしていくのか。新たなシーズンも、そういった点にぜひ注目してみてはいかがだろうか。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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