OP戦5割球団のシーズン成績に傾向は… タイトル獲得者続出のサイン?
10年間で10チームしかない勝率5割チームから、30のタイトルを獲得
最後に、各チームの選手たちの個人成績にも目を向けていきたい。オープン戦の勝率が.500だったチームが輩出した、同年のタイトルホルダーは以下の通りだ。
【2011年】
○中日
浅尾拓也氏:最優秀中継ぎ、リーグMVP
吉見一起投手:最多勝、最優秀防御率
○巨人
澤村拓一投手:新人王
内海哲也投手:最多勝
長野久義外野手:首位打者
藤村大介氏:盗塁王
【2013年】
○西武
浅村栄斗内野手:最多打点
E・ヘルマン氏:最高出塁率
○日本ハム
ミチェル・アブレイユ氏:最多本塁打
陽岱鋼外野手:最多盗塁
○DeNA
トニ・ブランコ氏:首位打者、打点王
○ヤクルト
W・バレンティン外野手:本塁打王、最高出塁率、MVP
小川泰弘投手:最多勝、最高勝率、新人王
【2014年】
○ロッテ
石川歩投手:新人王
【2016年】
○巨人
菅野智之投手:最優秀防御率、最多奪三振
S・マシソン投手:最優秀中継ぎ投手
澤村拓一投手:最多セーブ
坂本勇人内野手:首位打者、最高出塁率
【2018年】
○ヤクルト
近藤一樹投手:最優秀中継ぎ
W・バレンティン外野手:打点王
山田哲人内野手:盗塁王
以上のように、リーグ優勝したチームが1つだけだったにも関わらず、オープン戦の勝率.500だったチームの選手が獲得したタイトルは30個にのぼった。とりわけ、8個のタイトルを獲得した2011年と、12個のタイトルを獲得した2013年は特筆ものだ。2013年といえばバレンティンがシーズン60本塁打の日本記録を樹立した年でもあるが、この年はバレンティンとブランコの2人だけで打撃の主要3部門を独占している。
個人成績が優れた選手を多く輩出したチームは、そのぶんチーム成績自体も向上しやすいと考えるのが自然だろう。上述のランキングにおいても、Aクラスに入ったチームの選手が獲得したタイトルが19個、Bクラスのチームが11個と、やはり前者のほうが多くなっている。実際、上記のタイトルの大半は同年にAクラスに入ったチームの選手が獲得したものだが、例外的に2013年はBクラスの3チームの選手だけで計10個のタイトルを手にしている。
オープン戦の結果がシーズンに反映されるわけではないのは先述した各チームの成績からもわかる通りだが、10試合以上を戦ったうえで五分の成績を残している時点で、一定のチーム力を有しているともいえる。ある種例外的ともいえる、2013年のBクラスのチームのタイトルラッシュは、そういった紙一重の面を示唆しているのかもしれない。
以上のように、オープン戦で5割だったチームがどちらに転ぶかは全くの五分だった。多くのタイトル獲得選手を輩出している点も含めて、何やら不思議なジンクスを感じさせる結果となった。果たして、今季のオープン戦で勝率.500だったチームはどのような成績を残すのか、そしてタイトルを獲得する選手は両チームから何人輩出されるのか。今後もオープン戦を五分の成績で終えたチームが現れたら、ぜひ注目してみてはいかがだろうか。
(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)