レッドソックスのサイン盗み 処分されたワトキンス氏は何者?手口は?

ビデオ判定システムの担当者JT・ワトキンス氏の処分が発表された【写真:Getty Images】
ビデオ判定システムの担当者JT・ワトキンス氏の処分が発表された【写真:Getty Images】

陸軍士官学校卒業後にドラフト入団、その後陸軍中尉を経験した異色の経歴

 米球界を揺るがしてきたサイン盗み問題。22日(日本時間23日)に、大リーグ機構(MLB)は2018年シーズンにレッドソックスがサイン盗みを行なっていたと断定し、処分を発表した。

 MLBが下した処分はビデオ判定システムの担当者JT・ワトキンス氏の今季の業務停止と同職の禁止、今年のドラフト2巡目指名権剥奪というもの。そして、アレックス・コーラ前監督にはアストロズのベンチコーチ時代の処分として1年間の職務停止を科した。

 発表されたこの処分に米メディアやファンからは“甘すぎる”との批判が相次いでいるが、この名指しで処分を受けたワトキンス氏とは一体何者で、ビデオ判定システムとはどんなものだったのだろうか? 米メディア「ボストン・グローブ」では「JT・ワトキンスって誰? MLBのレポートに名前が載ったスタッフのレッドソックスでの役目」とのタイトルで、処分を受けた同氏の素性と業務内容に迫っている。

 記事によると、ワトキンス氏は陸軍士官学校の卒業生で、2012年にドラフト10位でレッドソックスに入団。選手として1年間プレーした後、2015年までアメリカ陸軍に従事した。その後、2016年に古巣レッドソックスへ戻ったが、わずか1年で引退。2017年からはスタッフとして「アドバンス・スカウティング・アシスタント」という役職名で裏方に就いていたという。

 また、ワトキンス氏の父・ダニー氏が2004年からレッドソックスのアマチュアスカウトを務めていることも記事では紹介。2011年にはドラフト5位でムーキー・ベッツ内野手を獲得し、ベッツとワトキンス氏はレッドソックス傘下のローウェル・スピナーズで同僚だったという過去もある。

 レッドソックスのコーラ前監督も、就任後ことあるごとに「試合中の彼の冷静な判断に感謝している」と口にしていたワトキンス氏。MLBが発表した調査報告書の中では、同氏は“縁故”があったがためにチーム内で仕事を断れない「難しい立場に置かれていた」とされている。

 また、ワトキンス氏の業務内容は、スカウティングレポート作成の補助、キャッチャーや打撃コーチのサポートが中心で、また試合中には審判の判定にチャレンジすべきかどうかを判断する役目も任されていたという。

 MLBが提出したレポートでは、2018年に「少なくとも何度か」はワトキンス氏がライブ映像を使って相手捕手のサインを解読していたとしているが、本人はこれを強く否定。「ボストン・グローブ」の取材にも口を閉ざしているという。

(Full-Count編集部)

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