【球界と共に1】想定すべきは「ワーストケース」 危機に立つ球団の首脳ができること

楽天でオーナー兼球団社長を務めた島田亨さん【写真提供:株式会社 USEN-NEXT  HOLDINGS】
楽天でオーナー兼球団社長を務めた島田亨さん【写真提供:株式会社 USEN-NEXT HOLDINGS】

元楽天オーナー兼球団社長・島田亨さんインタビュー(前編)、東日本大震災の教訓は生かされているか

 新型コロナウイルスの感染拡大で、当初3月20日に予定されていたプロ野球の公式戦開幕が延期となっている。苦しいのはファンだけでなく、球団側も経営に大きなダメージを受ける。Full-Countでは過去に球団首脳としてチーム運営に携わった経営陣に球団が考えるべきこと、ファンや周囲の人は何ができるかを問う連載【球界と共に】で一緒に考えていきたい。第1回は元楽天オーナー兼球団社長・島田亨さんに聞いた。

 プロ野球の開幕が延期されたのは、東日本大震災が起こった2011年以来のことである。島田亨さん(現USEN-NEXT HOLDINGS取締役副社長COO)は11年当時、東北楽天ゴールデンイーグルスのオーナー兼球団社長の重責を担っていた。

「確かに、11年以来の開幕延期というのはその通りですが、今は判断基準というか、判断するための状況が全く違うと思います」と話す。

「東日本大震災は、局所的なもので、全国に大きな影響は及ぼしましたが、物理的に何かを制限しなければならないことは東日本の一部に偏っていました。こういうプロセスでやっていけば、球場の手当ても、移動の手当てもできて、あとは(原子力発電所の事故による)放射能の地域的な問題さえクリアすれば、開幕はいつくらいに、こういう形でできるんじゃないかと、ある程度シミュレーションができたんです」と振り返る。

 一方で「今回は残念ながら、いつ終息のメドが付くのか全くわからない。コロナウイルスの詳しい実態がわからず、ワクチンも治療薬もできていない現状では、いつ(シーズンを)始めるかを議論すること自体、あまり意味がないかなと思います。いまは、それを判断できなくてもしかたがない」と、球界を取り巻く環境の困難さを思いやるのだ。

 その中でも、いま各球団首脳がやれること、考えるべきことは何か。島田さんの11年当時の経験の中に、教訓が含まれているのではないか。

「震災直後のわれわれもそうでしたが、こういうことが起こった時にはこう対処しようと、あらかじめ様々なケースを想定しながら、球場の運営を含めて準備すべきだろうと思います」と口を開いた島田さん。当時楽天が講じた対策の数々を語り始めた。

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